経営・財界

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現状

財界が「政治に口も金も出す」方針に転換

東京のビジネスセンター、丸の内で語り合う外国人ビジネスマン
東京のビジネスセンター、丸の内で語り合う外国人ビジネスマン
 

   日本の新たな安全保障や外交のあり方を検討してきた日本経団連は2005年1月18日、「憲法9条2項を改正して、自衛権を確保するための自衛隊保持と集団的自衛権の行使を明確にすべきだ」という内容の政策提言報告書を発表した。経済同友会日本商工会議所も憲法改正を求めた報告書をまとめており、日本の主要経済団体が足並みをそろえた形となった。

   憲法9条は1項で戦争を放棄し、2項で戦力の保持と交戦権を否定しているため、自衛隊については発足直後から、「違憲」だという指摘が憲法学者や野党などからされていた。一方、与党の自民党や経済界には自衛隊の海外派遣が進んでいる現実も踏まえて、憲法を改正すべきだ、という主張が強まっていた。

有効求人倍率

   経済や政治に対して影響力を発揮する経営者の集団を、日本では「財界」と呼んでいる。財界は安全保障問題に限らず、このところ積極的に行動し始めている。日本経団連は2004年から、税制や財政など重要政策について各政党を評価し、それに基づいて、加盟の各企業に政治献金を促す、という新方式を始めた。献金の対象は与党の自民党と野党の民主党で、企業ごとの献金額の目安を企業の規模に応じて定める、というもの。この仕組みは、強制力を持つものではないが、経団連では年間約40億円を目標としている。

政治献金の斡旋再開に踏み切る

   経団連(2002年に日経連と合併し日本経団連に)は1993年、会員企業に対する政治献金の斡旋割り当てを中止し、企業や団体の自主的判断に委ねることにした。斡旋方式によって、経団連は政治に強い影響力を与え、事実上、自民党のスポンサーだった。しかし、80年代後半から90年代前半にかけて、未上場株を配ったことから政官界を巻き込んだ大汚職事件に発展したリクルート事件や、暴力団への不正融資の発覚から有力政治家の脱税が摘発された東京佐川急便のヤミ献金事件などが起き、「企業献金は政治腐敗の温床だ」という批判が高まったのに対応して、中止を決めた。経団連の会員企業による政治献金総額は当時、100億円を超えていた。斡旋中止によって献金実績は02年で約19億円と、急速に落ち込んだ。

企業倒産件数の推移

   その後、政治に対する経済界の存在感は薄れ、経団連、財界の「無用論」が出ていた。最近の政治献金の復活、憲法改正推進は、財界が「政治に口も金も出す」方針に転換したことを示している。

歴史

かつては強い影響力を持っていた経済四団体

   特定の目的を持って結成された経営者の組織を経営者団体という。中でも、経団連、日経連(日本経営者団体連盟)、経済同友会、日本商工会議所を「経済4団体」といい、戦後間もないころから、政治や社会に対して大きな影響力を行使してきた。経団連は政治献金を中心に政治との付き合い、日経連は賃上げや雇用問題に対して「財界労務部」としての労働組合対策、経済同友会は経営者個人の立場から忌憚のない政策提言、日商は中小企業の声を吸い上げ政策に反映する、というように4団体それぞれ固有の「業務」が確立していた。

民間主要企業・中小企業の春季賃上げ額の推移

   ところが、90年代に入って自民党が退潮し、財界とりわけ経団連の存立基盤は揺らぎ始めた。同時に、自民党との癒着に対する批判が強まり、これが「政治献金斡旋廃止」の一因にもなった。一方、春闘もかつてのような労組との対決色が薄れたため、日経連も地盤沈下が目立ってきた。こうしたことから、経団連と日経連は2002年5月に統合し、「日本経済団体連合会」(日本経団連)が生まれた。現在は日本経団連、経済同友会、日本商工会議所を経済3団体と呼んでいる。

日本経団連の概要

      1946年に結成された経団連は、その最盛期に「財界の総本山」と称され、会長は「財界総理」と呼ばれるほどの強い影響力を持っていた。一方、日経連はもともと労働組合に対抗するため1948年に地方の経営者協会がまとまる形で、経営者の全国団体として設立された。両組織は2002年に統合し、日本経団連となった。
   日本経団連は金融、製造業、貿易など幅広い業種の団体と企業から構成され、会員数は1623社・団体(04年5月現在)に上る。日本の大企業のほとんどが加入している。貿易摩擦、国際問題、国内の政策運営などについて経済界の意見をまとめ、政府に提言している。

日本経団連会長の横顔

   ;トヨタ自動車会長 奥田碩(おくだ・ひろし)
   1932年生まれ。一橋大学卒、55年トヨタ自動車の販売部門であるトヨタ自動車販売に入社。

奥田碩・日本経団連会長
奥田碩・日本経団連会長

   経理畑を歩み、72年に比国マニラ駐在となり、左遷されたと社内では見られていた。しかし、ここでの働き振りを豊田一族の豊田章一郎現名誉会長に認められ、営業、海外企画部門で頭角を現す。95年にトヨタ自動車社長就任、99年5月に日経連会長。同年6月トヨタ自動車会長に就任。販売台数、利益を大幅に伸ばし、米国ビッグ3と並ぶ世界的自動車会社に育てた。2002年5月に日本経団連会長に就任。

経済同友会の概要

   戦後間もない1946年、日本経済の再建のため、新進気鋭の経済人が結集して発足した。経営者が個人の資格で参加して、個別企業や特定業種の利害を超えた幅広い視野から政策提言を行うのが特色だ。ただ、提言内容は出身企業や団体を拘束するものではなく、単なる「言いっぱなし」に終わる心配も強い。かつては「開店休業」状態と揶揄された時期もあった。影響力を持つには、会員にそれだけ強い個性が求められる。会員数は2005年1月現在で1388人。

経済同友会代表幹事の横顔

   北城恪太郎(きたしろ・かくたろう)日本アイ・ビー・エム会長
   1944年生まれ。慶応大卒、67年日本アイ・ビー・エム入社。技術に明るく、30代半ばまではシステムエンジニアを務めた。米国のIBM本社で会長補佐を務めたこともある。

経済同友会代表幹事の北城恪太郎氏
経済同友会代表幹事の北城恪太郎氏

   93年日本アイ・ビー・エム社長に就任すると、パソコンの普及で業績が悪化していた同社の再建に努めた。ハードからソフトへという業界の流れに対応した方策を次々打ち出し、その手腕を評価された。99年に同社会長。
   経済同友会では2000年に副代表幹事に、03年3月に代表幹事に就任。「新事業創造立国」を旗印に、ベンチャー企業の育成に力を注いでいる。日本の経済界を代表する国際派の一人。

日本商工会議所の概要

   東京、大阪など全国の主要都市にある524の商工会議所を会員とする全国機関。会員数は2005年1月の時点で154万人。わが国最初の商工会議所は1878年に東京、大阪、神戸で設立された。それ以後に名称、組織などさまざまな変遷があったが、1954年に商工会議所法が定められ、法的根拠を持つ公益法人となった。中小企業の利益代表としての性格もあり、その立場からの政策や活動を推進するほか、各地の会議所の活動支援、相談、経営指導、技能検定の業務も行っている。

日商会頭の横顔

日本商工会議所会頭の山口信夫氏
日本商工会議所会頭の山口信夫氏

   山口信夫(やまぐち・のぶお)
   1924年生まれ。敗戦後ソ連に抑留され、3年間の捕虜生活を送る。引き揚げ後、一橋大学に入学、52年旭化成工業(現旭化成)入社。経営多角化を進める同社の中で、住宅事業をまかされ、この部門を最大の収益源に育て上げる。周囲の評は「バランス感覚があって、人使いがうまい」。1992年代表取締役会長になり、2001年7月日本商工会議所会頭に就任。

将来を展望するための3つのポイント

ポイント1
日本的経営をどう評価するのか


外国人労働者受け入れに関するアンケート

   政府は、専門・技術的分野における外国人の受け入れについては、「日本経済の活性化や一層の国際化を図る観点から、より積極的に推進していく」という方針を打ち出し、平成14(2002)年時点で約18万人の外国人が同分野で就労しています。
   一方、なるべく日本人の専門家や技術者を養成すべきであるという考え方もあります。政府の方針について、あなたはどのように思いますか。

外国人労働者受け入れに関するアンケート

   調査対象: 財団法人経済広報センターに登録している社会公聴会員 4,917人
   有効回答数: 3,625人
   調査期間:2004年7月15日~7月29日


   90年代に入って、バブルが崩壊し不況が深刻化するにつれて、成果主義、つまり成果に応じた賃金制度を導入する企業が急速に増えてきた。米国流の「成果主義」である。いわゆる「日本的経営」は不況を生んだ元凶とみなされるのと同時に、経営管理の無能さを示す代名詞になり、急速に崩れていった。日本的経営とは何か、について学者、専門家の見解は分かれているが、一般的には終身雇用制と「年功による賃金と昇格」が柱だとされている。しかし、景気が回復してきた2004年ごろから、日本的経営の再評価の動きが高まってきた。とりわけ、成果主義については「効果がなく、弊害が大きい」と廃止する会社も出てきた。日本的経営の根幹は給料で報いるのではなく、次の仕事の中身で報いるシステムで「食えないほどの低賃金でない限り、人が働くのは仕事がおもしろいからだ」と分析している。かつて日経連が設立されたのと同様、日本的経営の再評価は、財界が取り組む緊急の課題だ、と指摘する経営者は少なくない。

ポイント2
ベンチャー企業の活力取り込めるか

   04年秋にプロ野球界で起きた新規参入をめぐる騒動は、今後の日本の経済構造の先行きを象徴している。球団経営に名乗りを上げたのは情報技術(IT)関連企業の楽天ライブドアと、情報通信大手のソフトバンクの3社。このうちソフトバンクが球団を買収、楽天が新球団の設立を認められた。閉塞感が強まる日本で元気なのは、こうしたIT企業だ。しかし、こうした会社の多くは、いわゆる「財界」に背を向けている。彼らの持つ荒々しい活力をどう取り込めるかが新たな課題だ。

民営企業(1,000人以上)の労働組合推定組織率

ポイント3
シンクタンク機能を強化できるか

   経済団体の存在意義は何なのか。こうした疑問が出されるたびに、シンクタンク機能の強化が叫ばれる。「これからはカネでなく、知恵だ」。掛け声はかかるが、実現はしていない。今後、日本経団連を中心に、国の基本問題に踏み込む提言をしたり、「日本的経営」の再評価に取り組むにも、「頭脳の強化」は不可欠だ。そこに、存亡がかかっているとさえ言える。
   経団連と日経連は統合して「日本経団連」としてスタートしたが、これは日経連が時代の役割を終えたからだ。シンクタンク機能が強化されないと、経済団体はさらに統合、リストラを迫られることになりそうだ。

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