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カメラメーカーのデジタル一眼レフ戦争 -レンズ交換がアマチュアカメラファンに人気-

デジタル一眼レフカメラの販売戦に火をつけたキヤノンEOS kissデジタル(左)と、これを追撃したニコンのD70(右)
デジタル一眼レフカメラの販売戦に火をつけたキヤノンEOS kissデジタル(左)と、これを追撃したニコンのD70(右)

   日本のカメラメーカーは、レンズ交換のできるデジタル一眼レフカメラ販売戦に燃えている。日本の写真機メーカーの技術力が生かせる国際競争力のある商品だ。

日本の得意技を生かす一眼レフの人気

   日本のカメラメーカーは、レンズ交換のできるデジタル一眼レフカメラ販売戦に燃えている。火をつけたのは2003年秋発売されたキヤノンEOS Kissデジタル(アメリカでは Canon Rebel Digital, その他の地域では Canon EOS 300D)。それまで20万円を超えていたデジタル一眼レフの価格を10万円台に押し下げた。これに2004年3月、ニコンが同一価格帯でより高性能をうたうD70で追撃、販売合戦になった。
   これまで一部のプロやハイアマチュア向けだったのが、一般のユーザーも手が届くカメラになり、市場が一気に拡大した。2004年秋には、コニカミノルタのカメラ製造部門が手ぶれ補正機能のついたα-7デジタルで参戦し、オリンパス(株)も20万円以上した上位機種につづく10万円台前半の機種で対抗、ペンタックス(株)は10万円を切るデジタル一眼レフを登場させる。

レンズ交換式一眼レフタイプデジタルカメラの生産額と出荷額

   フィルムカメラの退潮を尻目に右肩上がりの成長を期待されたデジカメだが、有限責任中間法人カメラ映像機器工業会のカメラ国内出荷月別統計で04年6月分が-13%と、デジタルカメラの統計を開始した99年以来、初めて前年同月比を下回った。新聞紙上では、薄型テレビ、DVDと並ぶ「新・三種の神器」からの「脱落危機」と報道された。ソニー(株)松下電器産業(株)など家電メーカーが小型軽量デジカメを大量投入し、デジカメの国内普及率は50%を超え市場は飽和状態なうえに低価格化がすすみ、このままではデジカメはパソコンの二の舞かとの懸念がある。

愛着カメラのレンズが使える

   そこで期待されるのがデジタル一眼レフだ。カメラメーカーのお得意さんだった「フィルム一眼レフと複数の交換レンズを持つベテランアマチュア層」の乗り換えがごっそり期待できる。アマチュアカメラマンにとって、愛着のあるカメラのレンズがデジカメに使えるというのは、お金の問題だけでない。

さまざまな新しいモデルが展示されている、デジタル一眼レフカメラの売り場
さまざまな新しいモデルが展示されている、デジタル一眼レフカメラの売り場

   メーカーにとってもうまみのある商品だ。一眼レフは価格も下がったとはいえ安いものでも小型デジカメの3~4倍はあり、利益率が高い。低価格化の先陣を切ったキヤノンは今秋、Kissデジタルをより安価にした後継機種を出すとの予想もあったが、それに反して、より高級な価格帯の上位機種を出してきた。そこにデジタル一眼レフの価格維持の思惑が読みとれる。
   デジタル一眼レフはデジタルでもフィルムでもレンズなど光学系の高い技術が要求され、家電メーカーが簡単に追いつけない。この半世紀、日本のカメラメーカーはフィルム一眼レフの開発に切磋琢磨して世界市場に雄飛した。デジタルの分野でもこの伝統が生きるのか。
   キヤノンは自社の予測で、03年に全世界で対前年比4倍の85万台となったデジタル一眼レフ市場が、04年は「230万台になる」と強気だ。キャノンの販売先を見ると、国内2に対し海外8という。海外市場は主に北米と欧州で、アジアは、これからの市場。主戦場は、海外にあるといえる。