2024年 3月 29日 (金)

デジタル家電など製造拠点の日本回帰が明瞭に 「中国へ全部渡さない戦略」へ動く

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Yamanoi Norio

  製造拠点の「国内回帰」の動きが、競争力のある最先端製品、とりわけデジタル家電といわれる分野で、はっきりしてきた。 価格どころか「ものづくり」の技術でも、中国や韓国、台湾に負け始めているのではないか。そんな「空洞化」への危機感が、新たな動きを日本メーカーに呼び起こし始めた。

部品国内製造の動きが加速

  富士写真フイルムは液晶ディスプレイ部品の新工場を国内に建設する。投資金額は1千億円以上で、液晶関連の部品生産への投資としては最大級となる。2006年以降の操業開始を目指す。また、シャープは最先端の液晶パネル工場を三重県亀山市で04年1月から稼働させている。松下電器産業がプラズマ・ディスプレー・パネル工場を兵庫県尼崎市に建設することを決めている。いずれも、製品の進歩が速い最先端製品であるため、研究施設に近い製造拠点が望ましいこと。さらに、人件費があまりかからない自動化が進んだ部門であることなどから、国内で製造する方が有利と判断した。

 1980年代まで、日本は家電の王国だった。ビデオテープレコーダー(VTR)や、ビデオカメラ(カムコーダー)を量産し、全世界に輸出して外貨を稼いだ。その構造が崩れたのは1990年代だ。円高の進行は、日本の家電から価格競争力を奪い、競争力の低い製品は、人件費の安い中国や東南アジアへの製造移転が進んだ。こうした海外への工場シフトは、コスト低減には効果があった。しかし日本の工場で学んだ現地の技術者が新たな家電メーカーを立ち上げ、日本のライバルに成長することまでは見通せなかった。今でも、日本には松下電器産業やソニーという世界最大級の家電メーカーがある。しかしアジアや中国との競争の中で、かつてのような利益は出せていないのが実情だ。

  こうした状況が、再び一変しようとしている。それが「デジタル家電」の大ブームである。ブームとはいうが、これは決して一過性のものではない。白黒テレビがカラーになり、レコードがコンパクトディスク(CD)に替わったような変化が起きているのだ。日本のメーカーは、そのメインプレーヤーとして国際競争力を回復しつつある。

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