2024年 3月 19日 (火)

プラズマテレビ快走 -“独り勝ち”松下電器に死角はあるか-

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   松下電器産業の躍進が続いている。その起爆剤は、今や"松下の顔"となったプラズマテレビだ。

   とりわけ、主戦場である米国市場での価格破壊は凄まじく、半年前まで5000ドル以上していた42インチのハイビジョン対応モデルが、既に3000ドルを切っている。米国での市場シェアは約50%、日本では70%に迫り、2005年9月期中間決算におけるテレビ事業の営業利益は280億円に達した。770億円の赤字に転落したソニーとはあまりにも対照的。かつての"AVの両雄"の明暗を分けたものは何なのか――。
   半導体社――。松下のAV事業のコアとなる社内カンパニーである。松下はこの10年、同カンパニーに人材と設備を集中的に投資し、画像・音声処理の心臓部であるシステムLSIの生産体制を磐石にした。内製化の結果、外注費が削減され、需要変動にも柔軟に対応できるようになったことが、価格破壊を可能にしている。プラズマテレビに限らず、DVDレコーダーやデジタルカメラの好調を支えているのも、このシステムLSIだ。
   翻ってソニーは逆の道をとった。出井伸之前会長の時代、映画・音楽コンテンツ、放送・通信、金融などのソフト化事業に経営資源を集中し、AV事業については外注に頼る水平分業路線をとった。その結果が今の高コスト体質である。既にプラズマテレビは縮小、それに代わる液晶テレビも、肝腎の液晶パネルは韓国・サムスン電子との合弁生産に頼っている。

膨大な販売促進費の負担がずっしり

プラズマテレビは、今や展示会でも「松下電器の顔」
プラズマテレビは、今や展示会でも「松下電器の顔」

   しかし、松下のプラズマテレビ出荷台数は05年度200万台を超えるとはいえ、その売上高はまだ4000億円規模。膨大な販促費投入の負担は重く、連結売上高8兆7000億円の松下を支える事業には至っていない。中村邦夫社長は「薄型テレビ市場でシェア40%を堅持する」と檄を飛ばしているが、その本格普及に向けた勝負はこれからである。
   プラズマテレビは松下の攻勢で日立製作所パイオニアが脱落しかかっており、事実上"独り勝ち"の状態。松下は今後、1社でシャープ、ソニー、東芝、サムスン電子など液晶テレビ勢との競争に臨まなければならない。が、その重要な時期の06年6月、中村社長は退任が取り沙汰されている。補佐役の戸田一雄副社長も退く見通し。
   次期社長の有力候補は、前述の半導体社の社長を務める古池進専務と、AV事業を統括する大坪文雄専務だが、"ポスト中村"の前途は必ずしも平坦ではない。冷蔵庫、洗濯機など白物家電の好調も合わせて、今のところ、経営に死角がない松下――。たった数年前に「松下はもうだめか」といわれた時とは様変わり。同社の幹部が指摘する。
   「この3、4年の成功体験で社内の危機感は希薄になっている。つまづくとすれば、次期社長が緩みかけたそれを締められないときだ」

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