“三流ブランド”三洋電機 再建の道遠し
三洋電機の再建の足取りが定まらない。売却を視野に入れた半導体事業や、AV事業の提携先は明確になっておらず、またオーナー一族の前会長、井植敏代表取締役の進退に対する批判も社内外で高まっている。現経営陣がこのまま赤字事業を引きずれば、2006年度の黒字転換も画餅に終わりかねない。
05年末に、米ゴールドマン・サックス、大和証券SMBC、三井住友銀行による約3,000億円の増資引き受けが決まり、とりあえず、監査法人が示した企業継続の疑義は解消されるが、本業の構造改革はなお課題山積だ。
「結局、自らのブランドを大事にしてこなかったツケが回ってきた格好だ」
半導体、AV、白物家電など軒並み不振
三洋電機の構造改革はなお課題山積だ
05年11月18日に発表された三洋電機の中間決算――。通期の連結最終赤字が過去最大の2,330億円へ拡大し、しかも、2度目の下方修正が明らかになった際、同業他社からはこんな声が上がった。2期連続の大赤字は、直接には新潟県中越地震の被害にあった半導体工場の減損損失、在庫評価損が膨らむ結果だが、それだけが理由ではない。半導体、AV、白物家電などの事業が軒並み不振なのだ。
中間決算と同時に発表された中期経営計画では、「総合家電」の看板を下ろし、冷凍ショーケース、デジタルカメラ、携帯電話、リチウム電池の4事業を中核とする方針が打ち出された。これらは90年代後半、松下電器産業やソニーに比べ見劣りする自社ブランドに見切りをつけ、OEM供給や部品供給で収益を拡大させた製品群だ。しかし、ITバブル崩壊後の価格競争の中で埋没し、一方、肝腎の最終製品の三洋ブランドはさらに競争力を失った。