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偽造ないのに 販売中止の不思議

   住友不動産(東京都新宿区)が札幌市内に建設中の分譲マンション2棟の販売を中止した。「姉歯事件」とは違い、偽造の事実はない。どうしてなのか。

   不思議なのは、構造計算書の偽造はなく、2棟ともに強度も建築基準法の基準を満たしていること。にもかかわらず、「耐震強度の面で設計上の『余裕不足』があると指摘された」と説明している。
   「余裕不足」について住友不動産は詳しい内容を明らかにしていない。

鉄筋減らせる新計算方法を採用か

東京都中央区佃のマンション群。住民の不安を呼ばないような対策が求められる
東京都中央区佃のマンション群。住民の不安を呼ばないような対策が求められる

   朝日新聞は2006年3月7日付けの紙面で「同じ建物なのに、構造計算の仕方で耐震強度が異なるのはなぜか」という特集記事を組んだ。それによると、従来の計算法のほか、「限界耐力計算」という新しい計算方法があり、それぞれ違った強度が出る。新方法では、鉄筋などが少ない建物を設計することが可能になる、と指摘している。住友不動産が解約を進めている分譲マンションの場合も、構造は新しい計算法で行い、強度基準は満たしたものの、「問題が残る」というケースらしい。
   住友不動産はJINBNの取材に対し、「第三者機関から『安全性に余裕がないおそれがある』旨、口頭で中間報告を受けた。竣工が間近で(確認検査機関にその結果を戻して再び確認、という手続きを取ると時間がかかってしまうので)、解約手続きを取り急ぎ行った」と説明している。
   一番の問題は、こうした事情が関係者にあまり知らされていないことだ。ネット上では、住友不動産の対応について、不満が出ている。

建築基準法上では違法はないとしながらも、耐震上では問題がある懸念を抱えているという説明が、超玉虫色で訳わからんですよね、この辺を具体的に説明するよう、求めるべきでしょう。

IR上も説明責任がある

   投資家からも不安の声が上がっている。

他の物件も危ないとなれば、株価が一桁なくなってもおかしくないでしょうね
他の物件に耐震問題がないかちゃんと調べたのかなー?まさか、建築中の物だけ調べたんじゃ話しにならんよ!
住友不動産の株主および株取得を考えている人は、この会社のIRに耐震問題の懸念のある建物は他に無いか問い合わせた方がいいと思いますよ。

   販売を中止したのは札幌市豊平区のシティハウス福住公園通(15階建て、51戸)と、同市西区のパークスクエア発寒はっさむ駅前メイプルサイド(同、149戸)。札幌市内の設計事務所が設計を元請けし、構造計算は外部に下請けに出した、という。
   今回の耐震強度偽装事件を受け、外部に頼んで構造計算書を自主的に調べた結果分かった。