三井住友処分、怯える銀行界

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   三井住友銀行がデリバティブ(金融派生)商品の販売に絡んで金融庁から処分を受けた。 背景には、投資信託をはじめとする、もうかる金融商品を何とか売って収益拡大したい、という銀行側の事情が潜んでいる。だから、銀行業界は販売停止という処分におびえているのだ。

三井住友銀行への処分は「一罰百戒」なのか
三井住友銀行への処分は「一罰百戒」なのか

   三井住友銀行が中小企業に対して金利スワップ取引を組み込んだ、いわゆるデリバティブ(金融派生)商品を銀行の優位的地位を乱用して押し付け販売したとして金融庁は2006年4月27日、同行に対してデリバティブ商品の販売業務を5月15日から半年間、停止するよう命じた。
   金融庁の下した処分は、デリバティブ商品の販売業務の半年間の停止と企業取引の拠点となった法人営業部の新設の1年間凍結、内部管理体制の見直し、問題発生時の役職員に対する責任の明確化などで、「顧客へのイメージダウンを考えると収益への影響は少なくない」(他のメガバンクの関係者)とみられる厳しい内容だ。

貸し出しが伸びないところを販売手数料で稼ぐ

   今回の事件の本質は、銀行が融資先、とくに中小企業という立場の弱い取引先に対してデリバティブ商品という、顧客にとっては説明を受けてもなお、なかなか理解しにくい金融商品を押し付け販売したことだ。そして、銀行のノルマ主義がその背景にあったのも間違いない。
   問題があるのは、三井住友銀行だけかというと、そんなことはない。金融商品の販売をめぐるトラブルや、顧客が損失を被ったケースは数知れない。金融商品の場合、預金は銀行法で、株式や国債、投資信託は証券取引法で、また変額保険は保険業法で、証拠金取引は金融先物取引法で、と金融商品によって、その取り締まり方はバラバラ。さらには金利・為替スワップ取引は規制する法律もなかった。 金融商品に、横断的に網をかけて、投資家を保護していこうというのが、今国会で上程を予定している「金融商品取引法」である。金融商品を販売する業者に販売行為や業者規制をかけ、金融庁がこれを取り締まることになり、違法行為があれば業務停止や業務改善などを命令できる。
   いま、銀行は不良債権処理を終えて、収益拡大を目指している。メガバンクは地方に進出し、地元の地方銀行や信用金庫と争って融資開拓に励んでいる。体力の弱い、地域の金融機関にとってはさらに厳しい経営環境だ。投資信託をはじめとする金融商品は、そんな銀行界の救世主でもある。貸し出しが伸びないところを販売手数料で稼ぎ、収益を支えているからだ。

三井住友銀行が行内基準をどこまで整備するのか

   営業現場はノルマがかかれば、馬車ウマのごとく働き、それを達成しようとする。一方で、デリバティブ商品のような複雑な商品設計の金融商品も、個人投資家、普通の消費者のレベルで販売されるケースも増えていく。商品説明がおろそかになったり、理解できないまま契約してしまう例は、これからも減ることはないだろう。
   金融庁は06年4月、地方銀行の頭取が一堂に会す例会で、投資信託などのリスク商品の販売体制について、「金融検査で重点的に検証する」と、金融商品の行き過ぎた販売にクギを刺している。金融検査で、顧客への説明責任が不十分と指摘されれば業務改善命令は必至である。三井住友銀行ほどの処分となれば、中小の金融機関では屋台骨が揺らぎかねない。つまり、今回の厳しい処分は「一罰百戒」であるともいえる。
   銀行や信用金庫は、三井住友銀行が説明態勢などの行内基準をどこまで整備するのか、見守っている。おそらく同行の体制は、「最高レベルになる」(地銀の幹部)。どこまで、どうやって整備してよいのか、わからなかった銀行などにとって、ひとつの目安になる。

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