拡大をあせる 住友信託の行方

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   住友信託銀行三井住友とのグループ化を避け、他業種との関係を深めながら拡大路線を進んでいる。一方で、同じ専業信託である三井トラスト・ホールディングスとの経営統合もくすぶり続ける。メガバンクに差をつけられた住友信託はいったいどこへ行くのだろうか――。

全国銀行協会が入居する東京・丸の内の銀行会館。銀行業界に再編はあるのか
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    大手銀行グループの2006年3月期決算が出そろった。みずほ、三井住友、三菱東京UFJりそな、三井トラスト、住友信託の6大金融グループは、好調な株式市場とリテール部門収益の増加、不良債権処理で積んだ貸倒引当金が不要になって生じた「戻り益」を背景に、最終的な当期純利益は軒並み過去最高を記録した。
    そうしたなかで、住友信託銀行への注目度が増している。同社は、三井住友銀行とのグループ化を避け、05年秋、不動産ノンバンクのファーストクレジットを米投資会社のローンスターから買収。また、SBIホールディングスと共同でインターネット銀行の設立をぶち上げ、さらには東京・新宿に本店を置く八千代銀行の公的資金を肩代わりするなど、他業態との関係を深めるとともに、拡大路線を鮮明にしている。

三菱東京UFJ、みずほ、三井住友の3メガバンクとの格差は歴然

   また、悪質な取り立てで金融庁から業務停止命令を受けたアイフルとは、中小企業向け融資を行うための会社を設立するなど業務提携を結んでいる。その一方で、専業信託のもう一社である三井トラスト・ホールディングスとの経営統合もくすぶり続ける。
住友信託の今後の戦略はなんだろう。

   3月期決算で、住友信託の本業のもうけを示す実質業務純益は前期比164億円増加の1,646億円。当期純利益は前期比32億円増加の1,000億円。3期連続で最高益を更新した。不良債権処理の戻り益などが好決算の理由であることは他のメガバンクと同様だが、新たに連結化した住信・松下フィナンシャルサービス(旧松下リース)とファーストクレジットが収益に大きく貢献した事情もある。
   もう一方の専業信託、三井トラストの実質業務純益は1,830億円(前期比81億円減)、当期純利益は1,196億円(前期比256億円増)だった。
   両社合算の当期純利益は2,196億円。この専業2社を合わせても、りそなHD(3,832億円)にとどかないのが現状で、三菱東京UFJ、みずほ、三井住友の3メガバンクとの格差は歴然となった。
   住友信託の“焦り”は、その規模格差にある。同社は、都市銀行が再編で数を減らしていくなかで、かねてから「メガ信託」を標榜してきた。小渕内閣のときには、当時の日本長期信用銀行(現・新生銀行)との合併が浮上したが、消滅。長銀はその後破綻した。
   そして、UFJ信託銀行との合併騒動だ。

アイフルを連結化する、との見方も少なくない

   06年2月、東京地裁は、住友信託が旧UFJホールディングス(現・三菱UJFフィナンシャル・グループ)を相手に、旧UFJ信託の売却撤回について1,000億円の損害賠償を求めた訴訟で、同社の請求を棄却した。住友信託の言い分は東京地裁では認められなかった。住友信託はこの判決を不服として控訴し、現在、東京高裁で係争中だ。
    相次ぐ合併の破談で、「メガ信託」構想は頓挫し、同社は迷走する。
   ファーストクレジットの買収は、あるメガバンクの幹部の目には「奇異に映った」という。「好調なノンバンクの収益を吸収しようという戦略はメガバンクと同じだが、大手消費者金融と組むメガバンクとは、いかにも規模が違いすぎる」と、真意を測りかねている。
    悪質な取り立てでペナルティーを食らったアイフルは同社の大口融資先であり、次期社長を送り込むことで、ファーストクレジットと同様に連結化するとの見方も少なくないが、その半面、グレーゾーン金利問題で上限金利が引き下げられれば、将来的に収益確保がむずかしくなる消費者金融に旨みがあるのか、という指摘もある。
    SBIホールディングスと合弁によるインターネット銀行の設立は、従来の住友信託の顧客層と棲み分けを図り、若年層をターゲットとするのが目的だ。前出のメガバンクの幹部は「ネット銀行のむずかしさは、ジャパンネット銀行ソニー銀行をみれば明らかなのに…」と、若年層の取り込みという理由に首をかしげる。
    八千代銀行との資本・業務提携では、公的資金の足かせがなくなる八千代銀行に対して、住友信託は東京に基盤を置く同行の店舗などを通じて信託商品などを売り込む狙いがある。しかし、ある地方銀行の役員は「(住友信託の)本音は八千代銀行の株式上場狙いではないか」と推測する。住友信託は最近、各地の地銀に出向き、「是々非々で、お互い協力し合いましょう」と呼びかけているそうだが、「八千代銀行が異例なのであって、どの程度本気で提携を考えているのか、よくわからない」と話す。

三井住友グループの傘下入りも、現状では無理

   三井トラストとの経営統合は、04年8月から交渉を開始し、05年2月には合意寸前まで進んだといわれる。超えられなかったハードルは合併比率だったというが、規模拡大を目指す住友信託に、リテールに活路を見出す三井トラスト。そのあいだの、経営方針の微妙な差が原因ともいわれる。 とはいえ、メガバンクとの規模の格差は、そのまま金利上昇局面での利息収入の差となって、ジワジワと効いてくるはず。メガバンクが今年度中にも公的資金を完済しようという段階で、すでに完済している住友信託の優位性も薄らいでくる。
    「いずれは…」と目される三井住友フィナンシャルグループの傘下入りも、肝心の三井住友銀行がデリバティブ取引をめぐる業務停止命令などで身動きがとれなくなった。
    自行の収益力の低下を買収で補う戦略には、おのずと限界がある。それでも、住友信託の拡大路線は止まりそうにないし、同社が再編の“目玉”であることは、間違いない。

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