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銀行で利息が違う そんな時代が来た

   日銀が2006年7月14日にゼロ金利政策を5年4カ月ぶりに解除し、短期金利(無担保コール翌日物)を0.25%引き上げたことで、金融機関が普通預金の金利を引き上げ始めた。短期金利と連動してきた普通預金は長く0.001%が続いていた。しかし、ゼロ金利解除をきっかけに、他行より少しでも高い金利をつける銀行も目立ち、「横並びが当たり前」(大手銀)の状況に変化が現れている。

普通預金金利も、0.1%から0.25%まである

ゼロ金利政策解除後の、各行の金利はまちまちだ
ゼロ金利政策解除後の、各行の金利はまちまちだ

   普通預金金利の引き上げ幅は金融機関で対応が分かれた。住友信託銀行やインターネット専業のジャパンネット銀行ソニー銀行イーバンク銀行は0.2%に引き上げた。0.1%の引き上げにとどまった他行からは「コストがかかり、疑問」(大手銀)との声も漏れるが、ATM(現金自動預払機)の時間外手数料で吹き飛ぶような超低金利に泣かされてきた預金者には好評だ。住信の口座開設は通常の5割増という。
   新生銀行も8月から預金額に応じて年0.01~0.25%に引き上げた。100万円未満なら0.01%だが、1,000万円以上だと0.25%と差別化することで、高額預金者を呼び込み、ひいては他の金融商品の販売増につなげる。
   一方、三菱東京UFJみずほ三井住友りそなの大手4行も、0.1%に引き上げ、地方銀行や信用金庫も追随した。いずれにせよ、日銀の預金種類別店頭表示金利の調査(7月18~21日)では6年ぶりに普通預金の金利平均が前回調査比で上昇。直近の調査(同24~28日)時点で平均金利は0.086%になり、金利競争の胎動を感じさせる。

住宅ローンは短期と長期で正反対の動きが出る

   住宅ローンは短期と長期で正反対の動きが出ている。三菱東京UFJ銀行の場合、8月から、10年以上金利が変わらない固定型の金利を引き下げた。日銀のゼロ金利解除を織り込み済みの金融市場で、長期金利が下落傾向のためだ。10年固定は3.9%から3.85%に引き下げた。他方で、短期は2年固定と3年固定をそれぞれ2.35%から2.45%、2.7%から2.8%に引き上げた。こちらはゼロ金利解除後に上昇気味の短期金融市場の動向を反映させたものだ。
   また、金利が上下する「変動型」は毎年4月と10月が見直し時期のため、現在まで動きはない。ただ、基準となる短期プライムレート(最優遇貸出金利)を8月10日から引き上げる銀行が多く、10月には「変動型」も引き上げになる見通しが強い。
   このため、今後の金利上昇を見越した住宅購入層の間では、3月の日銀の量的緩和政策の解除後からいち早く長期の固定型にシフトする動きが続いている。特に住宅金融公庫と民間金融機関の提携商品で、35年固定型「フラット35」は人気が急上昇。6月の利用者件数は8,763件と、単月として過去最高を記録した。大手行でも4~6月、前年は1割しかなかった「10年超固定」の割合が3~4割を占めるなど、利用者が金利上昇時代での防衛に懸命な姿が明確になっている。