編集長からの手紙
ネット調査は世論か?

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   2006年10月5日付の朝日新聞は「ネット調査信頼できるか」を特集している。8月の長野県知事選でネット調査を実施したが、選挙結果と大きなズレが出た。原因は、ネット調査協力者が平均的な県民、有権者像とは異なる調査対象母集団の偏りを指摘している。世論調査として既存のネット調査を利用する場合には、当然、考慮するべきことなのだが、これをもって「ネット世論は偏っている」というふうに切り捨てたくない。

   世論調査は1930年代、米国の大統領選挙予測に市場調査の技術を利用した新聞、雑誌の模擬投票に始まるといわれる。戦後の日本でも、選挙を予測する調査は大いに活用された。訪問による面接調査が難しくなり、電話調査、ネット調査、投票所で面接する出口調査へと手法は変化する。
   これらの調査は投票結果を予測するためで、そもそも「世論」を知るための手段に過ぎない。選挙自体も、世論を知るひとつの有力な手段なのだ。
   朝日の記事では「本音を拾う利点も」と、中見出しではネットの効用に触れている。本音というよりは、むしろ、「世論を知るヒント」とでも言ったほうが良いかもしれない。
   「世論」を考えるとき、共通の意見の塊、利害がどの辺りにあるかを探るのも意義があるが、「世論」が形成されていく過程を知ることが重要だ。少数の意見が広がっていく仕組み、多数意見が萎んでいく様子、そして、社会や政治、経済に影響を与えていく局面を調査の中から汲み取っていく。その面でいま、ネットに現れる意見、見方を無視するわけにはいかない。
   パソコン通信のころからフォーラム、ニュースグループでのリーダーの存在とグループに対する影響力がいわれた。「声の大きな人に引きずられる」「文章のうまい人が勝つ」という調査や研究が報告されてきた。ネットの拡大、隆盛によって、その傾向はさらに強くなっていると思う。「世論」の形成にネット社会の情報が影響を与えるのが、情報化時代の現実である。
   J-CASTニュースはネットの中に出現している情報、意見、見方を積極的に取り上げている。ネットという新しいメディアの特性を少しでも伝えることが出来ればと思っている。

発行人(株式会社ジェイ・キャスト 代表取締役)
蜷川真夫

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