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液晶パネル国際カルテル 日本は巻き添えになった?

   テレビやパソコン、携帯電話などに使われる液晶パネルを巡り、韓国や台湾、日本のメーカーが国際的な価格カルテルを結んでいた疑いがあるとして、日韓の公正取引委員会や米司法省などが調査に乗り出した。国内では約10社が対象とみられる。液晶パネルは、液晶テレビ価格の3割程度を占める中核部品だけに、価格維持を狙った国際カルテルがメーカー間で結ばれていたとすれば、消費者が大きな不利益を被っていたことになる。各国独禁法当局の調査の行方に注目が集まっている。

出荷規模が大きいのは韓国、台湾メーカー

液晶パネルをめぐる調査の行方に注目集まる
液晶パネルをめぐる調査の行方に注目集まる

   調査対象となったと見られるのは、国内ではシャープセイコーエプソン東芝松下ディスプレイテクノロジーNEC液晶テクノロジーIPSアルファテクノロジなど。韓国ではサムスン電子LGフィリップスLCD、台湾では友達光電奇美電子など。
 この中で現在、特に出荷規模が大きいのは韓国、台湾メーカーで、シェアの1~2位はサムスン電子(24%)、LGフィリップスLCD(20%)の韓国勢が占めている。

   電機業界では過去にも、パソコンなどに搭載する半導体DRAM(記憶保持動作が必要な随時書き込み読み出しメモリー)の価格維持を目的に国際カルテルを結んでいたとして、日韓欧の主要メーカーが米当局の調査を受け、数百億円規模の罰金を支払った。今回の液晶パネルもDRAMと同様に日本、韓国、台湾の主要メーカーが激しく市場シェアを争い、電機業界で価格下落が激しい製品だ。

   調査会社の米ディスプレイサーチの調べでは、05年に10インチ以上の液晶パネルは、出荷枚数が前年比58%増、面積ベースでは84%増だったのに対し、出荷金額は約5兆1,000億円で25%増にとどまった。面積当たりでは1年で3分の2に価格下落した計算で、「下落は予想を超える大きさで、大画面化などで収益を維持するのが精一杯」(国内メーカー幹部)の状況だ。

専業メーカーほど業績は厳しい

   2006年4~6月期には、世界シェア2位の韓国LGフィリップスLCDが約400億円の最終赤字に転落し、新工場の建設計画を延期した。専業メーカーほど業績は厳しく、各国の独禁当局が調査に乗り出した背景には、かつてのDRAM同様に、カルテルによる価格維持が行われても不思議ではない客観的な状況がある。

   ただシャープが「液晶は価格競争が激しく、カルテルが行われる状況とは違う」(広報)と話すなど、国内メーカーは違法行為を否定している。液晶パネルの主力である大型パネルは日本メーカーがほとんど作っていないパソコン用で、そのパネルを使う主要顧客は米パソコンメーカーであることから、日本の電機業界内には「米当局の標的は韓国、台湾メーカー。日本は巻き添えになった」と困惑する声も聞かれる。