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「ペコちゃん」人気は不滅 森永もヤマザキも「ほしい」

   消費期限切れの原料を使った洋菓子を製造・出荷していたことをきっかけに経営不振に陥っている不二家だが、同社キャラクター「ペコちゃん」の人気は衰えを知らない。

   2007年2月1日、不二家の桜井康文社長と製パン最大手の山崎製パンの飯島延浩社長が東京都内でトップ会談したことを受けて、YOMIURI ONLINEなどは同日夜、不二家が山崎製パンから食品衛生管理体制の整備で支援を受けることで合意した、と報じた。これに対して、不二家は翌2日、山崎製パンから衛生技術や品質管理等で支援を受けることについて、「話し合いを持ち、検討中ですが、具体的なことは何も決定しておりません」とのコメントを発表している。

ペコちゃん人気が会社を支えている

不二家社員は、ペコちゃんに足を向けて寝られなさそうだ(Wikipedia資料画像)
不二家社員は、ペコちゃんに足を向けて寝られなさそうだ(Wikipedia資料画像)

   同日には時事通信が「森永製菓、再度支援を打診=『ペコちゃん』ブランド獲得に意欲」の見出しで、不二家からいったんは支援を拒否された森永製菓が、引き続き支援の用意があることを不二家に伝えたことを報じている(森永は結局支援を断念した)。

   「ペコちゃん」人気は株式投資家の目もクギづけだ。不二家株は1月11日に事件が発覚して昨年来の最安値で189円まで急落したが、森永製菓や山崎製パンなどの支援先が名乗りをあげたことや、東京・銀座の本社ビルなどの売却資産があることが報じられたこともあって株価もジワジワ戻している。

   2002年に牛肉偽装事件などの不祥事が続いて安値で150円にまで売られた雪印乳業が、グループ解体の憂き目に遭ったのと比べると、不二家の場合は“最悪の結果”は避けられている。この現状を、ペコちゃん人気が不二家を支えているとみる個人投資家は少なくないようだ。

   そんな個人投資家のプログを眺めると、

「思ったほど下落しないまま、(不二家株は)戻ったな。ヤマザキとの提携がニュースになり今日(2日)は急上昇。やはりペコちゃん人気が会社を支えているな」
「(森永製菓が再度支援を打診の記事で)これは面白いことになってきました。ペコちゃんはどちらにつくのか、森永、ヤマザキの株価も気になりますね。いずれにしてもペコちゃん株は急上昇の予感」

   といった記述がみられるのだ。

「子どものときから、ペコちゃんとずっと一緒にいたような」

   いったい「ペコちゃん」とはナニモノなのだろう。ペコちゃんは6歳。1950(昭和25)年に誕生。2000年には生誕50周年を迎えた。ちなみに、ボーイフレンドの「ポコちゃん」(7歳)はその翌年に生まれた。「怪物くん」などのテレビの人気子ども番組に提供し、商品CMに登場。40~60歳代の人にはペコちゃんバッグに入った「ミルキー」や不二家レストランの「ペコちゃんサンデー」は懐かしい。不二家のシンボルマークである、お店の前に立つペコちゃん人形は、98(平成10)年に日本で初めて、特許庁から立体商標の認定を受けたものでもある。

   「幼い頃は、ご褒美に食べられるペコちゃんサンデーが楽しみだった」という主婦や、「子どものときから、ずっと一緒にいたような…なくなるのか、と思うとなおさら何とかして!!って言いたくなる」(40歳代の女性)と、ペコちゃん人気は根強い。

   いずれにしても、「ペコちゃん」のもつブランド力はすごい。老舗の大手企業のピンチを、子どものか細い腕で懸命に支えているペコちゃんに、不二家の社員は足を向けて寝られないことは間違いないようだ。