2024年 4月 25日 (木)

学校給食で本当に「死に至る」危険 アレルギー対策これでいいのか

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   文部科学省が初めて実施したアレルギー疾患の全国調査で驚くべき実態が明らかになった。急性アレルギー反応のひとつで、死に至る危険性が伴う「アナフィラキシー」の症状が全国の公立学校の児童生徒の0.14%にあたる18,323人に発症していた。学校給食で多くの児童・生徒の命が危険にさらされる、そんな実態を受けて文科省もアレルギー対策に動き出した。

急性アレルギー対策に「配慮していない」が26.3%

Q&Aサイトでは給食とアレルギーについて情報交換が盛んだ
Q&Aサイトでは給食とアレルギーについて情報交換が盛んだ

   アレルギー体質を持つ児童・生徒の親にとって大きな問題は、給食。子どもが学校でアレルギー原因物質を食べていないかは大きな心配事であるようで、Q&Aサイトでは給食についての情報交換が盛んだ。OKWaveではアレルギーと給食についての質問が200以上書き込まれ、「子どもがアレルギーだが、どこの学校の給食が安全か」などの質問が飛び交う。

   そうしたなか、文科省は2007年4月11日、全国の公立学校の児童・生徒を対象にアレルギーの実態調査の結果を公表した。調査は2004年12月から開始され、04年6月末時点で学校側が把握している実態を同省に報告するかたちをとった。

   それによると、食物アレルギーを持つ児童・生徒は全体の2.6%の約33万人。さらに、「アナフィラキシー」の経験がある児童・生徒は全体の0.14%にあたる18,323人だった。

   「アナフィラキシー」とは、食品や薬品が原因で引き起こされる急性アレルギー反応で、じんましんなどの皮膚症状や、あるいは呼吸困難、めまい、意識障害等の症状を起こす症状のこと。血液循環の異常が急激に出て、ショック死するケースもある。

   しかし、学校側の取り組みは消極的だ。調査によれば「アナフィラキシー」への対策を意識して給食の中身に配慮していたのは55.9%で、「配慮していない」としたのは26.3%に上った。

   文科省はこうした実態を受け、アレルギー疾患に対応したマニュアルを作成するほか、教職員に対してアレルギー疾患についての指導を行うことを検討する、としている。

食事後の激しい運動によって突然発症

   しかし、意外なことに、危険なのは自覚症状がない児童・生徒にも「アナフィラキシー」が発症するが危険性があることだ。

   『食物アレルギーとアナフィラキシー』などの著者である角田和彦医師は、普段の生活ではアレルギーの自覚症状がなくても、食事後の激しい運動によって突然このような反応を起こす可能性があるとJ-CASTニュースに対し指摘する。

「中高生に多いケースとしては、小麦や海老などを給食で食べて、いつもは普通なのに、激しい運動をしてアナフィラキシーを引き起こすことです。お昼に給食を食べて、その直後に起こったり、6時間目に起こすケースもあります」

   文科省の調査によれば、給食直後の激しい運動をしないように指導している学校は、全体の35%ほどで、半数以上の学校ではこうした指導や取り組みはしていない。

   角田医師はアナフィラキシー対策として次のように話す。

「アレルギーの原因物質を見つけておく、できれば給食の直後に体育などをやらないなどの対策をとるべきだと思います。しかし、アレルギーについて知らない人が多く、食べても大丈夫だろうと簡単に考える人が多いんです。『大丈夫』と簡単に言わないことが大切です。それで死にかけたケースはいくつもあるんですから」
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