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上場企業の中間決算は増収増益 下期の懸念はサブプライムの影

   2007年9月中間決算で好業績を上げる企業が相次いでいる。新光総合研究所が発表ピークの2007年11月14日に公表した調査結果によると、東証1部上場企業は5年連続の増収増益を確保した。米国の低所得者層向け(サブプライム)住宅ローン問題の影響はほとんどなく、08年3月期予想も6年連続の増収増益が見込まれる。ただ、「サブプライム問題の影響が出るとしたら下期だ」(市場関係者)との見方も強く、サブプライム問題の余波が及ぼす懸念も小さくない。

新興国向け輸出好調が追い風

電機メーカーからは「住宅が売れなければ薄型テレビの販売に影響」という声も(写真はイメージ)
電機メーカーからは「住宅が売れなければ薄型テレビの販売に影響」という声も(写真はイメージ)

   新光総研が、決算情報を継続して集計できる1部上場企業(金融を除く)のうち、13日までに決算を発表した849社(全体の70.2%、時価 総額ベースで92.2%)をまとめた。全体の売上高は前年同期比8.7%増、経常利益は同8.5%増、最終(当期)利益は同19.3%増だった。経常利益は5年連続で最高益を更新している。

   08年3月期予想は、売上高が同6.2%増、経常利益が同8.4%増、最終利益は同19.4%増。中間決算と比べ、伸びはやや鈍化するものの、好調な業績予想だ。

   中間決算が好調だった理由は、(1)中国など新興市場向けを中心に海外販売が伸びた(2)4~9月の平均為替レートは1ドル=119円で、各社の想定レート同115円に比べ円安だった――などが要因だ。特に、中国やインド、ロシアなど新興国向けの輸出が順調に伸びたことが全体を押し上げた形で、中国向け需要増に支えられた海運の経常利益は同98.1%増と業種別では最大の利益上昇率を確保。同じく中国やインドの建設機械需要が追い風になった機械も同8.1%増と堅調だった。

   米国依存が強く、サブプライム問題の影響が最も不安視されていた自動車などの輸送用機器も同19.8%増と2けたの伸び、中間決算でのサブプライムの影響はほとんどなかったといえる。

サブプライム問題が新興国市場に及ぶと危ない

   しかし、「影響の兆候は出ている」との指摘も強い。例えば、ホンダ。北米の二輪車販売台数は同14.6%減るなど、製造業の一部では米国での売り上げ減が表面化している。電機メーカーの中にも「住宅販売が低迷すれば、薄型テレビなどの販売にも影響が出る」との懸念もある。

   現在のところ、市場関係者の間では08年3月期の増収増益を疑う声は小さい。「企業の経営は基本的にしっかりしている」(大手証券)との声は大勢を占めており、たとえサブプライム問題の影響で米国向け輸出が冷え込んだとしても、好調な新興市場向け輸出が全体をカバーできる、との見方が強いのだ。

   ただ「サブプライム問題は大きな危険要因」(市場関係者)との声は根強い。米国景気が今後、急速に冷え込んでいけば、日本企業が頼りとする新興市場に影響が及ばないとも限らない。原油価格の高騰に伴うリスクも大きく、下期に向けた警戒色は強まっている。