出版業界もはや危険水域 草思社だけでない「倒産予備軍」  

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   『声に出して読みたい日本語』『間違いだらけのクルマ選び』などのベストセラーを出してきた草思社が経営破たんに追い込まれた。長引く出版不況のなかで、多くの出版社は体力を消耗、出版点数を増やし続ける「自転車操業」状態に陥っている。草思社の経営破たんは、出版業界が陥っている「危機」を象徴する出来事だったようなのだ。

「昔はあった数十万部売れる書籍がなくなってきている」

草思社のHPでは民事再生法の適用申請について触れられていない
草思社のHPでは民事再生法の適用申請について触れられていない

   草思社は2008年1月9日、東京地方裁判所に民事再生法の適用を申請した。負債総額は約22億5000万円。業績不振や有利子負債が経営を圧迫したためで、同社は不動産を売却し、07年12月中旬には本社を移転。同12月末にはWebマガジン「Web草思」の運営をやめていた。同社によれば、すでに書籍の出庫を停止しているが、08年1月10日までに10社近い企業が支援に名乗りを上げており、営業を08年3月に再開することを目指しているという。

   同社は1968年に設立。『間違いだらけのクルマ選び』を76年から30年間にわたって発行していたほか、『声に出して読みたい日本語』(01年)『清貧の思想』(92年)といったベストセラーを多く出しており、07年12月には北朝鮮に拉致された横田めぐみさんの母・早紀江さんの発言をまとめた『めぐみへ 横田早紀江、母の言葉』を出版したばかり。そういったこともあり、出版業界にあたえる「衝撃」は計り知れない。

   草思社編集部はJ-CASTニュースに対し、162万部のミリオンセラーを記録した『声に出して読みたい』以降、「50万部を超える書籍が出版できなかった」と話す。

「ミリオンセラーと『売れない書籍』の"格差"があり、昔はあったはずの中間層の数十万部売れる書籍がなくなってきている。ここ数年、それが出せなかったことが、(経営破たんに)直接的な影響を与えたと考えている。また、新書や文庫本といった『安くてコンパクト』な本が今求められているのに、単行本だけを出していたことも時代の逆を行ったかたちになる」

   一方で、同社編集部の担当者は「環境のせいにするわけではないが、出版業界が厳しくなってきているのは肌で感じた」とも漏らしている。

業界に与える心理的影響は大きい

   最近では自費出版大手の新風舎が08年1月7日、約20億円の負債を抱えて民事再生法の適用を申請したばかり。04年には大手書店の青山ブックセンターが民事再生法の適用を申請するなど、2000年以降は、中小出版社や書店の倒産・経営破たんが目立ってきている。ただ、草思社は中堅出版社でもミリオンセラーを出せる出版社と見られていただけに、経営破たんが出版業界に与える影響も小さくはなさそうだ。

   「まさかと思った」と話すのは出版ニュース社代表の清田義昭氏。同氏は「草思社の民事再生法の適用申請が出版業界に与える心理的影響は大きいと思う。中堅の出版社は今ではどこも厳しいため、この現象が広がる可能性もある」と指摘する。

   しかし、清田氏によれば、「出版不況」は根本的に大きな問題を抱えているようなのだ。

「96年をピークに出版業界の売り上げは縮小し、返品率は40%にまでなっているのにもかかわらず、新刊点数はここ数年増えている。これは、出版事業が『自転車操業』的になっている現われで、出版社は出版活動について足元を見なくてはいけないと思う」

   「自転車操業」とは、業績悪化を受けて新刊点数を増加させ増収を試みるが、売れないために返品が多くなり、さらに業績が悪化して、そしてまた新刊点数を増やすという「負のスパイラル」のことだ。また、ある業界関係者は「自転車操業で出版業界に出口はなく、ダメな業界になってしまった」と話しており、出版業界は深刻な状況に陥っているようだ。

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