2024年 4月 17日 (水)

橋下と関経連仲が悪いわけ 財界は民主・熊谷にシンパシー

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   大阪府知事選に自民党府連推薦で出馬した橋下徹氏(38)が、関西の財界トップと、小学校運動場の芝生化を巡ってけんかする異例の事態になっている。府知事選では自民候補を応援してきた財界団体が今回は中立に回っており、けんかには選挙の構図を巡る事情があるようだ。

関西経済連合会の下妻博会長が橋下氏の政策を批判

小学校運動場の芝生化などの政策を載せた橋下徹氏の公式サイト
小学校運動場の芝生化などの政策を載せた橋下徹氏の公式サイト

   けんかの発端は、関西経済連合会の下妻博会長が、2008年1月7日の年頭記者会見で、「ある候補者は小学校の校庭の芝生化を挙げているが、これは市町村の仕事ではないのか」と橋下徹氏の政策を暗に批判したことだった。これに対して、橋下氏は、大阪市内で8日に開かれた立候補予定者3氏による討論会で早速、実名を挙げて反論。「下妻さんは府と市の関係を理解されていない」「方向性を決めて市町村を引っ張るのが府の仕事だ」などと主張した。

   これがメディアに取り上げられて、ヒートアップ。下妻会長は9日、産経新聞のインタビューに対し、「私はそれほど無知ではない」「芝生化と簡単に言うが、その維持管理には相当の出費を伴う。『子どもが元気だったらそれでいい』というような簡単な話ではない」と再反論までしたのだ。

   橋下氏は、マニフェストで、17の重点事業の一つとして、「大阪府内の公立小学校を中心に運動場を芝生化するための補助制度を創設します。年間100校の整備をめざし、PTAやNPOなど地域が芝生の管理を行う場合は大阪府の補助率をアップします」とうたっている。事業費は、18億円との触れ込みだ。

   2人の主張のどちらが、説得力があるのか。

   まず、橋下氏の選挙事務所に聞いてみた。選対幹部は、J-CASTニュースの取材に対し、「橋下は、子どものころからずっとラグビーをやっており、府内の小学校運動場の環境はよくないと思ってきました。だから、子どもたちが自由に転げ回り、生き生きと遊べる事業を提案したのです」と説明した。下妻会長の批判については、「いろんな意見が出てくるのは当然です。もし当選したら、随時調整していきます」と述べた。

   一方、関西経済連合会の広報担当者は、J-CASTニュースに対し、「個々の政策について、『例えば』と申し上げただけです。下妻は、会長をしている住友金属工業でサッカーの鹿島アントラーズを支援しており、芝生維持の大変さをよく知っています。『植えただけでは済まないよ』と、先生や生徒、PTAがちゃんと熱意を持ってメンテナンスしないと続かないということを言おうとしました」と話した。

「自民、公明が熊谷、民主が橋下なら何の問題もないのだが…」

   双方の主張について、大阪市立大大学院の北原鉄也教授(行政学)は、こうみる。

「ことさら大きな議論をするような論点ではありませんね。下妻さんのおっしゃるように、学校施設の整備は、一義的に市町村の責任です。また、道路などでもそうですが、都道府県は市町村を指導することができますので、橋下さんの考えも一理あります。グリーン化や子どもの教育のために、補助金などの政策誘導的な制度をつくってやるのは十分ありえます」

   では、なぜこんな議論にもならないことでけんかしたのか。新聞各紙の報道を見ると、どうやら選挙の構図に原因がありそうだ。

   これまでの府知事選挙では、太田房江現知事(56)のように、自民・公明・民主の与野党相乗りの構図が多かった。ところが、今回の知事選では、間近に迫ったとも言われる次期衆院選をにらんで、民主党が、推薦候補の元大阪大大学院教授、熊谷貞俊氏(63)を擁立した。対決ムードを盛り上げるためだ。それに財界が巻き込まれ、どちらについていいか悩んでいる構図なのだ。

   しかも、財界としては、福祉や教育などを中心に一点豪華主義に近い考え方の橋下氏より、民主党が推す熊谷氏の方がいいらしい。熊谷氏は、赤字財政の建て直しや大阪経済の活性化などをバランスよくマニフェストに掲げてある。そして、兄の信昭氏は、大阪21世紀協会会長を務めるなど、関西財界とのパイプが太い。後援会では、元コスモ証券会長、関西経済同友会特別幹事をそれぞれ会長、副会長に据える。産経新聞の07年12月15日付記事によると、ある大手企業の役員は「与党の自民、公明が熊谷さん、民主が橋下さんならば何の問題もないのだが…」という本音発言を思わず漏らしていたという。

   これに対し、橋下陣営では、元経済企画庁長官で作家の堺屋太一氏が08年1月7日、「橋下氏を知事にする勝手連」を立ち上げ、JR西日本元相談役、パソナグループ代表ら経済人を迎えて、巻き返しに懸命だ。選挙事務所の選対幹部は10日、経済団体の支援があるかどうかについて、「選挙初日ですし、そういった質問にはお答えしないことにしています。いろんな動きがありますので…」と含みを持たせた。

   ちなみに、関西経済連合会の広報担当者は同日、「今日の時点では、中立です。先の先までは仮定の話として言えませんが…。戸惑いですか?なきにしもあらずです」と答えた。

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