IHI初の「特設注意銘柄」 改善不十分なら上場廃止の恐れ

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   有価証券報告書を大幅に訂正した総合重機大手、IHI(旧石川島播磨重工業)の株式について、東京証券取引所は新設の「特設注意市場銘柄」に指定した。同銘柄の指定は初めてだ。IHI株の取引は通常の上場銘柄と同様に行われるが、社内の管理体制に問題がある企業として周知されることを意味する。IHIは内部体制の改善を求められ、もし改善が不十分なら上場廃止の可能性があるとの含みも残している。

「悪質性はなかった」と判断、総合的にみて上場を維持

IHIは、東証の「特設注意市場銘柄」指定第1号となった
IHIは、東証の「特設注意市場銘柄」指定第1号となった

   IHIは昨秋、主力のエネルギー・プラント事業などの採算悪化で巨額の損失が出たことを明らかにした。同12月には、07年3月期決算をそれまでの246億円の営業黒字から56億円の営業赤字に訂正すると発表した。東証はこれを受け、IHI株を監理銘柄に指定し、上場廃止基準に該当するか否かの審査を進めてきた。

   その結果、東証は「意図的、組織的な損失隠しや先送りは確認できず、悪質性はなかった」と判断。「総合的にみて上場廃止が適当とまでは認められない」として、監理銘柄の指定を解除し、上場を維持することを決めた。

   しかし、「コストの見直し作業に関する情報を共有する仕組みが機能せず、損失発覚の遅れにつながった」とIHIの内部管理体制には不備があるとし、その改善を求めて特設注意市場銘柄に指定することを決めた。

   東証が特設注意市場を設立した直接的なきっかけは、世間的に大きな注目を集めた2007年春の日興コーディアルグループに対する審査問題だった。日興は虚偽記載(利益水増し)を行ったことから、東証は日興を監理銘柄に指定し、上場廃止に当たるかの審査を進め、日興を「グレー」とみなした。しかし、当時のルールでは、「上場廃止」か「維持」の二者選択しかなく、結局、上場廃止とまでは判断できず、上場維持を決定。その後、「廃止と維持の間の処分があってもいい」(西室泰三・東証前社長)との声が急速に高まり、07年11月、新たな特設注意市場が設けた。

1年ごとに内部管理体制の確認書を東証に提出

   特設注意市場銘柄に指定された企業は、1年ごとに内部管理体制の確認書を東証に提出しなければならない。問題がなければその段階で指定は解除されるが、問題が解決されていないと東証が判断すれば、引き続き同銘柄に指定される。さらに3年を経ても問題が解決しなければ上場廃止になる。

   上場が維持されたとはいえ、特設注意市場銘柄の指定第1号となったことで、IHIに課された責任と義務は大きい。株式の取引環境は従来と変わらないとはいえ、投資家が向ける目はいっそう厳しくなるはずだ。

   一方、東証の内部には「特設注意市場を作ったことで、『上場廃止』か『維持』かの二者択一を迫られた頃より重圧は軽くなった」との声も出ている。確かに二者択一には問題もあったが、東証は旧ルール下と同様に緊張感をもって審査に当たるべきなのは当然だ。

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