こんな凶悪犯相手でも 日本の警官は銃を使えないのか

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   17人の死傷者を出した秋葉原の通り魔事件。犯人逮捕の瞬間の映像がインターネット上の動画投稿サイトに相次いで投稿された。「見事な逮捕」と評価する見方がある一方で、警察官が犯人と対峙した際に「警棒を落として、その隙に2人刺された」「手が震えて手錠を落とした」といった証言もある。「これほどの凶悪犯、なぜ銃を使わなかったのか」。そんな声も上がりそうだが、そこには日本の警察官ならではの「同情すべき事情」もあるようだ。

「彼が逮捕しなければ犠牲者はもっと増えただろう。まさに逮捕術の模範演技の如き見事な逮捕であった」

   2008年6月11日付産経新聞に掲載されたコラムのなかで初代内閣安全保障室長の佐々淳行氏は、加藤智大容疑者を現行犯逮捕した警察官を手放しで絶賛している。

   しかし、その一方で、「模範演技」のような逮捕劇とは違った側面を指摘するような声もある。08年6月11日放送の日本テレビ系番組「スッキリ!!」では、警察官と犯人の攻防についての生々しい証言が放送された。

一般人から「足を撃て」という声が上がる

YouTubeには「犯人逮捕」の動画が相次いでアップされた
YouTubeには「犯人逮捕」の動画が相次いでアップされた
「警官はこの辺でですね、警棒を持っていて(サバイバルナイフは?)振り回していました。警官もそれを抑止するように警棒を振っているんですが、やっぱり勢いに負けている感じで」
「そしてこの辺りでおそらく男性と女性が刺されています。(警察官の目の前で?)そうですね。警察官の隙を突いてこの辺りで男性と女性が刺されています」

   番組中でこう証言するのは、現場に偶然居合わせたという日本テレビ技術統括局の局員と名乗る人物。加藤容疑者は秋葉原・中央通りから入った路地で警察官との攻防の末、現行犯逮捕されているが、どうやら路地の入り口付近で「最初の鉢合わせ」があったようなのだ。また、別の証言者も「警察官はここで警棒を落とされてしまったので、犯人はそのときを狙ってこちらの通り(犯人が逮捕された路地)の方に逃げていきました」「また、ここら辺で見ている人たちを刺して、ここでは2人くらいが刺されていたと思います」と述べており、警察官が路地の入り口付近で犯人と最初の攻防があり、隙を突いて犯人が2人を刺して路地に逃走した、という点で一致している。

   さらに逮捕直前に至っては、

「路地の入り口にいた人から『足を撃て』という声が上がり、警官が腰に手を当てたが(銃を)取り出せなかった。手がおそらく震えていたからだと思う」
「『手錠をかけろ』と叫んだが、やっぱり手が震えているみたいで、落としてしまった」

といった証言もされている。「逮捕術の模範演技」とはかなり違った様相だ。

「非常に規制がうるさく、かわいそうなぐらい銃が使えない」

   テリー伊藤氏は2008年6月11日放送の「スッキリ!!」で銃の問題について言及し、「民間人に銃を出せといわれている。銃を向けることはその後いろいろ批判を受けるが、そういう意識を持つことも重要だったのでは」と指摘している。

   08年6月3日に発生した埼玉県川越市の発砲・立てこもり。この事件でも氏は警察官の銃使用に言及している。

「なぜ(警察は)撃たなかったのか。人質がいたら撃っていたと思う。(日本の)警察は世論が撃ったことを認めるかどうか、後のことを考えますからね。アメリカなら撃っていますよ」

   事件を巡っては、金子謙容疑者が乗用車に8時間半ものあいだ立てこもっており、「リスクを可能な限り回避するのは当然だが、可及的速やかに事態を収拾し、住民を安心させることも、警察の大事な使命だ」(毎日新聞社説)といった警察の対応の遅さを批判する声が相次いだ。しかし、警察官が拳銃を使うのには難しい事情もある。

「日本は警察官の銃の使用について非常に規制がうるさく、かわいそうなぐらい銃が使えない。発砲すればその原因を厳しく聞かれるし、極力『警棒』を使わなくてはいけない。拳銃があるのになぜ使わないのかという批判もあるが、使って大騒ぎになったら大変だから控えたいというのがあるのでしょう」

   J-CASTニュースに対してこう話すのは、警察の事情に詳しい神奈川新聞論説委員の木村卓而氏。警察官が銃を使用して発砲する際には、周囲の安全や事前に予告することなどがルールとなっている。今回の秋葉原の通り魔事件について木村氏は「そこにいた警官にとっては予期せぬ事態で、しかも周りに人がいた。銃を使わなかったのはやむを得ないのでは」と述べている。

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