サブプライムの傷深く 日本の証券会社経営不振が深刻

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   サブプライム問題が表面化してまもなく1年。米国だけでなく、日本の証券会社の経営不振が深刻になってきた。なかでも地場の中小証券の経営は苦しい。個人投資家の株式売買が低調なうえ、自己売買(ディーリング)部門もさえないからだ。

株式の新規公開を実施した企業は4社のみ

   野村証券を傘下にもつ野村ホールディングス(HD)は2008年7月29日、第1四半期(08年4~6月期)決算(米国会計基準)を発表した。サブプライム住宅ローンにからむ損失を肩代わりするモノライン(米金融保証保険)への引き当てが膨らんで、海外だけで616億円の赤字となった。元社員によるインサイダー事件をきっかけに、機関投資家などの取引が停止になったことも響いた。当期赤字は765億円だった。

   大手では三菱UFJ証券も69億円の最終赤字に陥った。日興シティホールディングス傘下で個人部門を担う日興コーディアル証券は、最終利益で80億円を計上したが、前年同期比34%減。株式売買や投信販売で得られる手数料収入が同18%減少の367億円。法人部門の日興シティグループ証券は12億円の最終赤字だった。

   大和証券グループ本社は、手数料収入が前年同期比23%減の617億円、トレーディング益も株価の下落と債券相場の急落(長期金利は上昇)によって同54%減の213億円と振るわなかった。経常利益が同85%減の83億円、最終利益は78%減の58億円だった。

   世界中の株式や債券市場が混乱して運用資産が収縮するなかで、個人投資家などが株取引を手控えて売買手数料が減少。さらには08年度に入って、7月までに株式の新規公開(IPO)を実施した企業は4社しかない。株価の悪化とともに景気が後退して、業績目標が達成できずに上場どころではなくなってしまったケースもある。多くの証券関係者が「米国市況が悪く、しばらくこの状況が続く」とみていて、サブプライム問題の痛手はなお尾を引きそうだ。

投信販売にFX、新たな収益源も低調

   証券最大手の野村HDでも苦戦するほどだから、経営規模の小さな地場証券の収益状況は推して知るべしだ。証券業界はインターネット証券の登場で、株式売買手数料の引き下げ、あるいは無料化を競ったことによって、売買手数料で稼ぐことがむずかしくなってきた。代わって、投資信託や外国為替証拠金取引(FX)といった新たな金融商品を取り扱い、株式の売買以外の手数料を厚くしようと目論んだ。

   ところが、株式市場の悪化に伴い個人投資家の投信離れが進み、当てがはずれた。自己売買も低調だし、株式売買手数料は今後さらに尻すぼみになると予想されるが、大手証券はまだ法人取引のウエートが大きい。ブローキング(株式売買)業務の不振を補う、企業のIPOやM&Aのコンサルタントフィーなどが見込める。一方、地場の中小証券はそういったブローキング業務以外の、新たな収益源が見つからない。そればかりか、利便性で勝るネット証券に個人投資家を奪われるケースも少なくない。「逆風」は大手以上だ。

   いまや個人の株式売買代金のうち約75%が、ネット証券大手が占めるようになった。投資家との対面取引のウエートがいまだに高い地場証券は、情報収集だけ利用されて、実際の取引はネット証券を利用するという、「使い分け」に悩まされている。

   それもあって、「ディーリングの成り行きによって、その証券会社の体力が決まってしまうくらいになっている」(中堅証券会社の関係者)と、収益構造の偏りが大きくなっているという。

   インターネット証券が注力するFXの取り扱いを「後追い」して、新たな個人投資家を取り込もうとするが、これもうまくいかないようで、「(投資家が)増えているという感じではありません」(ある地場証券)とさえない。

   「いまは株式市場の混乱で、ディーリングはまったくの不振といっていいほど」と、ある証券関係者。地場証券は稼ぐ術がなくなっている。

インヴァスト証券

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