枝川二郎の「マネーの虎」
投資マネーの流入はウソ? 原油価格高騰の真犯人

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   原油価格の高騰は世界中の人々に大きな影響を与えている。その原因についてはいろいろな説があるが、もっとも俗受けするのが「先物市場でヘッジファンドなどが投機を目的に価格をつり上げている」というもの。悪いことが起こるときはスケープゴートを探したい、そんな気持ちはわかるし、投機筋というのは悪者にしやすいのかもしれないが、言いがかりはやめたほうが良い。

先物市場を使っての原油価格つり上げは間違い

   まず、「先物市場を使って原油価格をつり上げる」は間違い。先物取引というのは、あらかじめ決められた価格で将来のある時点で売買(受渡し)する権利を約束すること。ヘッジファンドや年金基金などの投資家は、原油そのものを売買したいわけではないので、先物に買い(売り)を入れたら受渡し前に必ず同量の売り(買い)を入れて相殺し、損益を確定する。つまり、将来の価格変動を予測して相場を張っているだけなのだ。しかし実際の原油(現物)価格は受け渡し時に払われる現金の金額であるので、原理的に先物取引の価格とは無関係である。

   また、いままで株式や不動産に向かっていた資金が原油や穀物などの先物市場に流れこんできたためにバブルが起きた、という話もある。それもおかしい。先物市場は現物市場と異なり売りからも買いからも自由にはじめられるので、影響は中立である。そもそも先物市場が特別のわけではない。1980年代のわが国のバブルを考えても、先物市場などなくても不動産や株価が大きく上がった。また、米や鉄のように国際的な先物市場の存在しない商品の値段もこのところ、原油や大豆などと同様に上がっている。

原油高騰、なにもしないリスクは高い

   では、先物ではなく原油の現物を買い占めてもうけようとしているのか? もし原油相場をつり上げようとする流れがあるのならば、石油の在庫が大きく増えているはずだ。しかし、そういう統計はない。逆に多くの産油国ではフル稼働して産出しているというのが実情だ。

   そうなると、原油高騰の原因はなにか? やはり需給だと考えるべきだろう。中国では1990年から2006年のあいだに石油の消費量が年7.7%(つまり10年で2倍以上)増えた。現在中国では33人に1台の割合での自家用車を保有している(カリフォルニア大学ハミルトン教授の調査による)。それが10人に1台、5人に1台になっていったらどうなるか。その不安が原油価格の高騰を誘ったとしても不思議はない。

   ともあれ、われわれは原油価格の高騰を嘆き悲しんでいても仕方がない。当コラムでは07年11月に、商品相場の高騰をいかに自分に有利にもっていくべきかについて述べたが、それを実践している会社ももちろんある。

   たとえば、米国のサウスウエスト航空(乗客数で世界最大の航空会社)は原油価格高騰をものともせず増益をずっと続けている。これは同社が燃料費の安定を図るために原油価格のヘッジを以前から積極的に行ってきたからだ。同社では2008年に使用する燃料の70%が1バレル当たり51ドルで手当てされている。これはなんと、原油価格の指標であるWTIのいまの価格の半額以下だ。

   一方で、世界では原油価格の高騰で莫大な赤字を計上している航空会社も多い。これはリスク管理の巧拙が企業の存亡を左右する良い例だと思う。原油価格の動きにただ身を任せているという行為が、最もリスクが高い行為なのだ。


++ 枝川二郎プロフィール
枝川二郎(えだがわ じろう)国際金融アナリスト
大手外資系証券でアナリストとして勤務。米国ニューヨークで国際金融の最前線で活躍。金融・経済のみならず政治、外交、文化などにもアンテナを張り巡らせて、世界の動きをウォッチ。その鋭い分析力と情報収集力には定評がある。


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