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都会より地方の人の方が太っている その理由は「歩かないから」

   地方より都会の方がよく歩く。そのせいで、都会は地方に比べて肥満者の割合が少ない――内閣府がまとめた「2008年版食育白書」でこんな傾向が分かった。公共交通機関が少ない地方は車社会で、歩く機会が少ないことが影響しているようだ。

「日々の運動量の差が肥満に影響しているのではないでしょうか」

   「2008年版食育白書」によると、東京、神奈川、千葉、愛知、大阪、兵庫といった都市部では男女ともに運動量(1日あたりの歩行数)が多く、これらの地域では肥満者が少ない傾向にある。

   成人男性の全国平均は7525.5歩、成人女性は6662.2歩だが、男性の場合、神奈川が8371.5歩ともっとも多く、兵庫(8281.2歩)、東京(8237.8歩)と続いた。女性は、兵庫が7499.8歩と多く、次いで神奈川(7371.4歩)、東京(7235.6歩)だった。これらの地域では肥満者の割合が、運動量の少ない地域に比べて10~20%も下回っている。

   歩行数と肥満者の割合に因果関係があるのだろうか。内閣府の担当者は、

「田舎は車社会なので、都市部に比べて歩行数が少ない。日々の運動量の差が肥満に影響しているのではないでしょうか」

と見ている。

   確かに、都市部での移動手段は電車がベースとなる。地下鉄の場合は乗り換えに100メートル以上歩くことも珍しくない。さらに、最近はタクシー代が値上がりして、ちょっとくらいなら歩こうという人も増えていそうだ。

男女ともに肥満率が一番高いのは沖縄県

   一方、肥満者の割合が多いのは、男性が沖縄(46.7%)、岩手(41.7%)。北海道、鳥取、宮崎も30%台後半と多い。女性が沖縄(39.4%)、福島(38.2%)、岩手(37.2%)。歩行数を見ると、6000~7000歩台で全国平均を下回っている地域もある。

   男女ともに肥満率が一番高い、沖縄県健康増進課の担当者はこう話す。

「電車はモノレールしか通っていないこともあり、車の保有数が高めです。歩いていける場所でも車を使用している人が多いですね」

   県は08年3月から、1日あたりの歩行数を今より1000歩、時間にして約10分多く歩こうという取り組みを進めている。

   肥満者の割合が男性は2位、女性が3位と高いのが岩手県。保健衛生課の担当者は、

「交通の便が悪く、面積も広いので移動は車ベース。家から目的地まで『ドアtoドア』での使用になりますね。子供にも言えることで、ほとんどの子が学校に行くのにスクールバスを使っています。そのためか、東北全体でぽっちゃりした子が多いようです」

と話し、子供の頃から肥満が目立っているようだ。

「県は2010年までに成人の歩行数を1日8000歩以上にすることを目標にしているんですが、どうでしょうかね…」

   肥満追放はそう簡単ではないらしい。