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観光客減り始めた「沖縄」 ブームにかげり?

   沖縄への観光客が減っている。一時は「ブーム」とも言われたが、ここにきて景気悪化の余波を受けたようで、消費者が遠出を控え始めたのが響いた。観光収入で成り立っている沖縄県にとって、これは「死活問題」だ。農業体験、焼き物体験、カヌーなどバリエーションを増やし、リピーターの確保に力を入れている。

新年1、2月も予約状況は良くない

   沖縄県庁が2008年12月25日に発表した入域観光客統計概況によると、同年11月に日本国内から訪れた観光客は前年同月比0.3%減の46万7300人だった。08年4月から11月までの累計は409万9300人で、前年同期比4.1%増と同期間の過去最高を記録。それが11月から微減し始めた。

   県庁観光企画課の担当者は、

「景気悪化の影響を受けて、09年1、2月も旅行会社の予約状況は良くないようです。アジアからの観光客も前年に比べてクルーズ船の寄港予定が少なく、影響が出ています」

と話す。

   大手旅行会社JTBが行った年末年始の旅行動向調査でも、沖縄に行きたいと答えた人は前年より2.6%少なかった。調査は1200人にアンケートを実施した。お金がかかるという理由から遠出を控える傾向にあり、国内旅行はもっぱら「安近短」が人気のようだ。JTB広報室担当者は、こうみている。

「08年11月頃から円高の影響で近場のアジアの人気が上昇し、中でもウォン安の韓国に行く人が増えています。沖縄と韓国では気候も観光目的も異なりますが、円高は今しかない、ということもあって、結果的にアジアに流れたのかもしれません」

   また、4、5年前にアウトレットモールや高級リゾートホテルの建設が相次ぎ、グアムやサイパンと並び日本の「南国リゾート」としての人気も出た。モノレール「ゆいレール」が開通して交通の便がよくなったほか、幅22.5メートル、高さ8.2メートルの巨大水槽がある「沖縄美ら海水族館」ができて、冬場の客足も伸びた。

「そのため一時は飛躍的に観光客が増えましたが、このところはブームが落ち着いたようです」

農業体験、焼き物体験、カヌー・・・新たな魅力打ち出す

   沖縄県の主たる収入源は観光産業だ。07年度の観光収入は推定で4240億円、サービスや商品の購入を通じて他産業の生産を誘発する効果を加味した生産波及効果は6903億円(04年度)。旅行、観光消費による付加価値効果は3794億円(同)で、国民総生産(GDP)に占める割合は10.8%になる。日本有数の観光地、京都市が7.5%であることと比べても大きく、観光客が減り続ければ県の財政にも大きな影響を与える。

   前出の県観光企画課の担当者は対策について、

「新たな施設を建てることは今のところ考えていませんが、観光客の7割をリピーターが占めており、最近は農業体験、焼き物体験、カヌー、トレッキングといった新しい沖縄の魅力を感じられるオプションを開発しています」

と話し、リピーターの確保に力を入れる方針だそうだ。