再販、記者クラブ問題 新聞協会「当事者ではない」
(連載「新聞崩壊」第12回/新聞協会・新聞社の見解)

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   連載の最後に当たり、2008年末から始まった連載の中で取り上げられた問題点について、「当事者」の新聞社や新聞協会はどう考えているのか聞いた。J-CASTニュースの取材に対する回答をまとめた。

「各クラブが自主的に運営している」

   記者クラブと押し紙、再販制の問題については、社団法人「日本新聞協会」(会長、北村正任・毎日新聞会長)に取材した。同協会は、全国の新聞社や通信社、放送局140社が会員となっている。阿部裕行・総務部長と國府(こうの)一郎・編集制作部部長、富田恵・経営業務部部長らが交代しながら答えた。

   まず協会の基本的な立場を「経営者団体でもなく、いわば倫理団体として発足した。ここで何かを決定する組織ではない」と説明した。

   最初にJ-CASTニュース側は記者クラブ問題について質問した。記者クラブに関しては、協会の「編集委員会の見解」が公表されている。2002年にまとめられ、その後06年に一部改定されている。「見解」では、「取材・報道のための自主的な組織」などと記者クラブを位置付けている。また、「記者クラブは『開かれた存在』であるべき」「報道活動に長く携わり一定の実績を有するジャーナリストにも、門戸は開かれるべき」などとうたっている。

   協会側は記者クラブについて、次のような説明をした。協会が示した「見解」は強制的なものではなく、全国にある各記者クラブが「見解に沿って」自主的に運営している。基本的にはクラブごとにルールをつくっている。クラブは、会員かオブザーバーかの違いはあるが「海外の方を含めて開放している」。勿論条件はあり、報道という公共的な目的を持ち、クラブ運営に支障がないことが必要だ。クラブ運営に支障がない、とは「取材活動を阻害しないこと」だ。記者クラブの数がいくつあるのか、合計何人が加盟しているのかは、許認可制ではないこともあり把握していない。ほとんどの記者会見には、記者クラブ加盟社以外の参加も認めているようだ。

   以上の説明からすると、記者クラブとは、A省庁記者クラブやB県警記者クラブといったクラブごとに自主的な判断をする独立した組織ということのようだ。新聞協会も口出しできないし、ある1つの新聞社が決定権をもっているものでも勿論ない訳で、いわば治外法権的な組織といった所だろうか。また、オブザーバー参加とは多くの場合、会見に出ても質問する権利はないことを意味する。同協会が「見解」の中でもうたっている記者クラブが「『開かれた存在』であり続ける」という主張に対しては、元ニューヨークタイムズ東京支局取材記者で現在フリージャーナリストの上杉隆さんは、実態との乖離を指摘し、「ほとんどブラックジョークと見紛うほどである」と批判している。

「活字離れで国民のリテラシー低下が問題化」

   次は押し紙問題について質問した。押し紙とは、新聞社が新聞販売店に対し、実際に読者に配られている部数より多い新聞を強制的に納入している、とされる行為だ。部数が多い方が広告価値が高い、という背景がある。その存在を指摘する声は少なくないが、独占禁止法で禁じられている行為でもあり、新聞社側は存在を認めていない。同協会は、次のような立場を明らかにした。

   押し紙については、独占禁止法で禁じられ、公正取引委員会の告示で規定されている。独占禁止法を扱っているのは公正取引委員会で、「従って、新聞協会が取り扱える事項では毛頭ありません」。押し紙問題は、新聞協会が扱う事項ではない。「ノーコメントではなく、コメントできる立場ではない」

   要するに、協会は当事者ではないので公正取引委員会に聞くべきでは、ということのようだ。そこでJ-CASTニュースは公正取引委員会に取材した。取引企画課によると、押し紙があった事実を認定して、押し紙をやめなさいという審決が1度出ている。1998年に北國新聞(石川県)に対して出された。ほかの新聞社はどうなのだろうか。「押し紙の事実に関して具体的な情報提供があれば、当然検討する」。実際に具体的な情報提供が現在あるのかどうかは、「具体的な案件は答えられない」としている。そして、一般論として、押し紙のような「優越的地位の濫用」事案は、被害者側(押し紙問題でいえば販売店)が、(新聞社からの)「報復を恐れて情報提供をしにくい状況はあるのではないか」との見方も示した。

   最後は、再販制度について。再販制がなくなると新聞の価格競争が激しくなり、民主主義の基盤が揺らぐ、と新聞業界は制度維持を主張している。一方、制度を廃止し他業種と同じように自由に競争した方が消費者の利益になる、とする経済学者らの指摘がある。同協会は、再販制度と特殊指定を合わせ、広報資料を紹介しながらこの問題に対する見方を次のように示した。

   公共性という点では新聞もトイレットペーパーも同じであると、一部の経済学者から指摘があった。しかし、新聞は民主主義の維持・発展と深くかかわる商品という点が他の商品と異なる。今のように同じ新聞はどこにいても同じ価格で提供できることが、民主主義社会の健全な発展を支える基盤となっている。新聞は、国民の「知る権利」に応える極めて公共性の高い商品性がある。制度がなくなり定価の割引が始まると、過疎地や高層住宅への配達に上乗せ料金が課されたり、配達そのものを拒否されたりしてしまうこともあり得る。そうした事態になれば言論の多様性確保の観点からも問題で、ゆえに再販制度と特殊指定は必要である。また、「活字離れによって国民のリテラシーが低下しているということが半ば社会問題化して」きている中、国も文字・活字文化振興法を定めた。こうした流れに逆行するような再販制・特殊指定廃止には反対だ。廃止を主張する立場からは「競争がない」と主張されるが、同じA新聞ならどこでも同じ価格ということであって、例えばA新聞とB新聞とは激しい競争をしている。現在の制度のもと、全国で5紙以上の新聞が読めるという多様性が確保されていることは正当に評価されていい。94%の新聞は戸別配達され、9割以上の人が戸別配達を支持している。紙の優位性が支持されている。

   協会側の説明からは、同じ新聞なら全国どこでも同じ価格ということへのこだわりが垣間見える。再販制・特殊指定がなくなれば、都心部の人は今よりも安く新聞を買うことができるかもしれないが、過疎地などで値上げや配達拒否の動きが出て民主主義の基盤が揺らぎかねないので今の制度が必要だ、ということのようだ。しかし、各新聞社はインターネットで無料で多くの記事を配信している。「同じ価格」へこだわる姿勢と矛盾はないのだろうか。

   この疑問に対して、協会側は、各新聞社がインターネットにどう対応するかは、各社の経営判断であり、紙の新聞を前提とした再販制度とは、リンクしないとの考えを示した。また、J-CASTニュース側は「例えば、東京で読む朝日新聞と大阪で読む朝日新聞、九州で読む朝日新聞は、掲載されている記事が全く同じという訳ではない」「特に1面と社会面では、例えば九州では載っているが、東京では1行も載っていないことも、その逆もある」と指摘した。その上で、東京の朝日新聞も九州の朝日新聞も「同じ新聞なら同じ価格」という文脈の中では、「同じ新聞」なのかと質問した。これに対し、協会側は「それは同じ新聞だろう」と説明した。

「見通しは公表しておりません」「回答を控えさせていただきたい」

   また、J-CASTニュースは大手新聞社4社にも、今後の経営についての見通しを聞いてみた。具体的には(1)販売・広告収入は、どのように推移すると予測しているか。下落する場合、その対策はどうするのか(2)ネット事業で、どのようにして収益をあげるつもりなのか(3)新規事業を立ち上げて収益源にする予定はあるのか(4)仮に、これらの施策が不調に終わった場合、人員をリストラする予定はあるのか(5)中長期的に見た場合の事業の継続可能性はどうか、の5点について、質問状を送付した。

   各社の回答は、経営の見通しについて公表を拒む姿勢を浮き彫りにするものだった。

   例えば朝日新聞社は、質問項目別に回答を寄せたが、その内容はというと、(1)(2)については「見通しは公表しておりません」(3)は「様々な可能性について検討しております」(4)は「仮定の話については回答できません」(5)は「中長期的に見て事業の継続は可能だと考えております」と、事実上の「ゼロ回答」。

   毎日新聞社は、

「当社は株式を上場しておりませんので、毎年6月の株主総会で株主に報告している事業報告以外に経営情報は公表しておりません」

と、非上場であることを理由に、今後の見通しを明らかにしなかった。その上で、今後の取り組みについては

「経済状況が厳しい中、当社は『論争のある』『分かりやすい』『役に立つ』をブランドの柱に、生活者の視点に立ち、読者に信頼される新聞を目指すとともに、デジタルメディア、出版、事業、放送、不動産部門などを含めたグループ経営の充実に力を入れていきます」

とのみコメント。具体的な内容については明らかにしなかった。

   残りの2社は、

「質問内容が、公表していない事柄についての項目ばかりなので、今回については回答を控えさせていただきたい」(読売新聞社)
「今の時点でお答えできることはございません」(日経新聞社)

として、質問に回答すらしなかった。

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