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「快眠」にこだわり ビジネスホテルの生き残り

   「快眠」を売りものに集客力を高めているビジネスホテルが増えている。コンフォートホテルを展開するチョイスホテルズジャパンや阪急ホテルマネジメントは、ベッドや枕などに工夫を凝らし、「快眠」で集客力を高める。サラリーマンの出張に利用される機会の多いビジネスホテルだが、心地よい眠りを提供することで女性客の獲得にもつなげたい考えだ。

激しさ増すホテル戦争のプラスα

ホテルでぐっすり「快適な眠り」(チョイスホテルズジャパンの「フットピロープラス」)
ホテルでぐっすり「快適な眠り」(チョイスホテルズジャパンの「フットピロープラス」)

   全国を飛び回るサラリーマンが出張時の宿泊に使う定番のビジネスホテル。リーズナブルな価格が好評だが、景気悪化や競争の激化、高級ホテルをも相手とするお客の争奪戦が繰り広げられていて、差別化にあの手この手の知恵比べが続いている。

   全日本シティホテル連盟の調べによると、加盟するホテルは233軒、総客室数は2万4230室ある(08年3月30日時点)。ビジネスホテルは、「できるだけ安い費用で宿泊したい」というニーズに応え、地方都市でも増加傾向にあった。

   ビジネスホテルの客室利用率は全国平均で80%台を維持している。しかし、ホテルの使われ方が多様化して、会議や研修、食事など「プラスα」の機能をもつホテルに対する需要が高まってきたほか、利用料金が多少高くても、ゆっくりと快適な気分で過ごせることを優先するサラリーマンらが増えてきた。ホテル側も、そういったニーズに対応すべく設備を整えてきた。

   そうした中で、激しいホテル戦争を生き残ろうと、「快眠」にスポットをあてた取り組みが好評だ。

   コンフォートホテルやクオリティホテルを展開するチョイスホテルズジャパンは、2006年から「快眠プロジェクト」を立ち上げ、快眠グッズのリーディング・メーカーと共同で開発した快眠枕「チョイス ピロー」を全室に設置。また08年11月からはオリジナル足枕の「チョイスフットピロープラス」の貸し出しサービスも開始し、女性や若い男性の利用客を中心に好評を博している。

   チョイスホテルズジャパンは、「休暇で宿泊するリゾートホテルなどでの眠りとは違った、仕事モードのお客様がビジネスホテルに求めている、限られた時間の中での効率のよい眠りの提供をテーマにサービスを開発しています」と話している。

常連客を獲得 ベッドや枕をひと工夫

「快眠」を提供するコンフォートホテル
「快眠」を提供するコンフォートホテル

   自分に合う枕を探して微調整してくれる「ピローフィッターサービス」を実施しているパークホテル東京は、専門の研修を受けたコンシェルジュなどが、オーダーがあると客室に出向いて宿泊客のからだに合った枕を無料でアドバイスする。2003年からサービスを開始、「データを残しているので、次回の宿泊時に同じ枕を用意する」と、常連客の獲得に功を奏している。

   阪急ホテルマネジメントは快眠をテーマにしたホテル、「REMM」(レム)を東京・日比谷と秋葉原にオープンした。住居感覚の設備が「売りもの」で、裸足でも抵抗なく歩ける畳カーペットや、二重サッシや高性能遮音壁を採用。もちろんベッドにも工夫を凝らし、日本ベッド製造との共同開発で、幅140センチとやや広め。腰部分は硬め、足部分は柔らかめにスプリングを使い分けるなどで、どんな体型の人が寝ても不自然に沈まないようにするなど、徹底的に「快眠」にこだわった。

   「快眠」も競争が激化すれば、当たり前のサービスになってくる。枕やベッドに続く、「次の一手」を模索中だ。