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出会い系サイト規制法の余波 コミュ大量削除で「ミクシィの危機」

   出会い系サイト規制法の改正で、ミクシィが「出会い」コミュニティを多数削除して利用者に戸惑いが広がっている。どんな飲み会やオフ会なら、面識のない異性との出会い目的に当たらないのか、基準が分からないからだ。法改正はSNSと出会い系を明確に分けるのに役立つとされたが、逆にSNSらしさを奪っているのか。

「面識のない異性との出会い」に抵触

「出会い」検索した結果の一部
「出会い」検索した結果の一部
「コミュニティサイトから出会いの要素を取っ払ったら何が残るんでしょう・・・」
「ただの飲みオフのコミュも削除対象になるんだったら・・・ カラオケとかもダメなのか?w」

   ミクシィの日記では、ここ数日で「出会い」をキーワードにしたコミュニティが大量に削除されたとして、こんな戸惑いの声が広がっている。

   確かに、「出会い」で検索すると、メンバー数の「0」が表示されたコミュニティがたくさん引っかかってくる。これまでは聞かれなかったようなことで、明らかに削除された跡だ。ただ、2009年3月19日時点で、削除されていないコミュニティもある程度みられる。モデルとカメラマン、社長同士、ダーツ仲間などが出会う目的のものだ。

   いったい何があったのか。

   ミクシィの広報担当者は、削除の理由として、改正出会い系サイト規制法が08年12月1日に施行されたことを挙げる。それに伴って、同10日に利用規約に新たな項目を付け加えた。第14条の禁止事項の(7)にある「面識のない異性との性交、わいせつな行為、出会い等を主な目的として利用する行為」だ。削除されたものの多くが、「面識のない異性との出会い」に抵触したらしい。

   改正規制法は、出会い系サイト業者に対し、公安委員会への届け出や、18歳未満でないことを証明する免許証やクレジットカード確認を義務づけた。それによって、これまであいまいだったSNS業者との違いを明確化するとともに、SNS側も出会い系にならないようにしなければならなくなった。ミクシィでは、その結果、「出会い系」に通じるコミュニティや日記に対し、警告したうえで削除することにしたとしている。

お店の予約をしていてキャンセル料が発生

   とはいえ、ミクシィ利用者からは、コミュニティが多数削除されたことに驚き、その基準が何か分からないという不満の声が上がっている。

   SNS独特のオフ会については、削除されたことで、「急に連絡も取れなくなった上に、お店の予約をしていた場合はキャンセル料が発生する場合があった」といった声も出た。また、800人余のコミュニティが削除されたという管理者は、自らの日記で「確かにお友達募集のトピックはあったけど、コミュニティトップで出会い系やアダルトなコミュニティじゃないって注意事項も書いてあったのに。だいたいコミュニティ削除しなくても、出会い目的の書き込みだけ消せばよかったんじゃない?」と疑問を投げかけている。

   ミクシィの広報担当者は、削除の基準について、「飲み会、オフ会だから必ずしもいけないということはありません。出会い系業者だけをターゲットにしているわけでもありません」とするが、「利用規約以外には、細かな基準は公開していません」と話すのみだ。ここ数日で大量削除されたと言われていることについては、「そういうことはありません。削除後に、0の数字が残るので騒がれているのでは。巡回しながら、順次対応しています」と説明する。詐欺行為などの犯罪についてもチェックしており、「出会い」だけに焦点を当てているわけではないという。

   「面識のない異性との出会い」目的とみなしただけで削除することには、SNSらしさが失われると危惧の声も上がっている。これに対し、広報担当者は、「利用者には、規約違反しないように注意しながら、楽しんでほしい」とその自覚を促している。

   ちなみに、ミクシィでは、利用規約を変えた08年12月10日から年齢制限を緩和して15~17歳も利用できるようにしたが、これは、出会い系サイト規制法の改正とは直接関係がないとしている。