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週刊新潮、週刊現代はどうなっているのか 裁判で「敗訴・賠償命令」が多発

   週刊誌が記事を巡って「賠償命令」を下されるケースが相次いでいる。裁判所から「裏づけ取材をしていない」「記事の根拠が不十分」などと指摘されることも多い。いわば「いいかげんな記事だった」と言われているに等しく、週刊誌の記事そのものに対する不信感につながりかねない異常事態だ。

週刊現代は、大相撲八百長報道で高額賠償命令受ける

   2009年3月30日、週刊誌2誌の記事をめぐる訴訟に動きがあった。

   ノースアジア大学(秋田市)に計600万円の支払いを命じられたのは週刊新潮。07年11月8日号で、同大の小泉健理事長がクーデターで就任し、不当な人事を行っているなどと報じたことに対しての名誉棄損訴訟で、東京地裁は、「取材結果はいずれも伝聞で、伝聞元の取材は一切行われていない」として新潮側に賠償を命じた。

   同日、広島県警に謝罪文を送り、和解が成立したのは週刊現代。同誌は05年から06年にかけ、同県警の男性警部補が、00年に神戸のテレホンクラブで起きた放火殺人事件に関与した人物と癒着している、などとする記事を掲載、警部補は名誉を傷つけられたとして提訴していた。

   この2誌には他にも、記事を巡る裁判で敗訴し、「損害賠償命令」を下される例が相次いでいる。

   週刊現代では、大相撲八百長報道での高額賠償命令が記憶に新しい。東京地裁は09年3月5日、北の湖前理事長の八百長疑惑記事をめぐる名誉棄損訴訟で、計1540万円の賠償を現代側に下し、09年3月26日には朝青龍の全勝優勝をめぐる八百長記事に対する名誉棄損訴訟でも、現代側に計4290万円の賠償を命じている。それぞれの判決では各裁判長から「ほとんど裏付け取材をしていない」(3月5日・浜秀樹裁判長)「取材は極めてずさんだ」(3月26日・中村也寸志裁判長)と指摘されている。

   現代はほかにも08年12月にも東京地裁から、堀江貴文・元ライブドア社長への名誉棄損で400万円の賠償(24日判決)、キヤノンへの名誉棄損で200万円の賠償(25日判決)と立て続けだ。

社長への賠償を命じる異例の判決も

   また、週刊新潮にも、同誌に掲載された大相撲八百長疑惑や相続問題に対し、貴乃花親方と景子夫人が提訴、09年2月4日に計375万円の賠償を命じられた。しかも、名誉棄損を防ぐ対策が不十分だったとして、同社の佐藤隆信代表取締役社長にも賠償責任を認定する異例の判決となっている。また、新潮には09年1月にも、楽天への名誉棄損で計990万円(26日判決)、野中広務氏への名誉棄損で計110万円(30日判決)の賠償命令が下されている(いずれも東京地裁)。新潮へも各裁判長から「根拠が不十分で、記事掲載ははなはだ軽率だった」(1月26日・原優裁判長)「十分な裏づけ取材がない」(2月4日・松本光一郎裁判長)と指摘されるなど、記事の信憑性が疑われる判決が相次いでいる。

   このように賠償命令が続くのはなぜなのか。

   週刊新潮編集部は、「裁判についての取材は受けない」とする。また、週刊現代編集部は、広島県警の訴訟については「裁判所の勧めで和解しました」とし、大相撲八百長報道の訴訟については、

「公益法人としての存在意義が問われる今、この判決で相撲協会に対してさまざまな改革を求める機会を失うことを危惧します。控訴に向けて検討します」

という乾智之編集長のコメントが出ていると言い、それ以外は「話せない」としている。