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小泉純一郎「次男」の世襲 自民党内部から噴出する批判

   国会議員の世襲批判で、小泉純一郎元首相後継の次男にも批判や疑問が相次いでいる。それも、麻生首相ら自民党内部からも噴出しているのだ。しかし、支援市議らは「若いのに発言がしっかりしていて評判がいい」という。このまま地元から出れば、そのブランド力で勝ってしまうのだろうか。

父親の事務所を衣替え、自分で探さなくてすむ

   神奈川・横須賀市内にある小泉純一郎元首相の事務所。そこに電話をかけると、「はい、小泉進次郎事務所でございます」と職員が電話に出てきた。

   小泉元首相は、現職の衆院議員だが、地元事務所はすでに衣替えしているらしい。後継候補には、事務所も自分で探さなくてすむ利点があるようだ。

   次男の進次郎氏(28)は、小泉元首相から2008年9月に後継指名を受け、同じ神奈川11区から次期衆院選に出馬することになった。自民党公認もすでに内定している。

   進次郎氏の経歴は、小泉ブランドを象徴するように華やかだ。関東学院大を卒業後しばらくして、アメリカの名門コロンビア大学に留学。そして、同国の著名シンクタンク研究員を経て、07年9月から小泉元首相の秘書をしている。

   出馬を前に、進次郎氏には、地盤・看板・カバンもそろっている。しかし、国会議員の世襲批判の高まりは、進次郎氏も例外ではなくなってきた。それも、自民党内部からも疑問や批判が出ているのだ。

   小泉元首相とは折り合いが悪い麻生太郎首相は、09年5月12日の衆院予算委員会で、その後継指名について、こう疑問を呈した。「自民党の支部で、幹事会などを開いた上できちんと手続きを踏むことが抜けていた感じがする」。つまり公募による選考をした方がよかったということだ。

   小泉元首相を支えたはずの武部勤元幹事長も、13日の1年生議員との会合で、意外な発言をした。日経の14日付記事によると、国会議員の世襲制限を次期衆院選に前倒しでやるべきだとして、自民党は進次郎氏を公認すべきではないとの考えを示したというのだ。また、党内からは、平沢勝栄衆院議員が、4月18日の民放番組で、世襲候補は同一選挙区から出るべきでないとして、進次郎氏の選挙区替えを示唆する発言をしている。

「本人の取材はお受けしていません」

   高まる世襲批判について、次男の進次郎氏は、どのように考えるのだろうか。

   進次郎氏の事務所では、応対した職員が2009年5月14日に、「まだ(小泉元首相の)秘書ですので、取材はお受けしていません」と答えた。代わりに別の秘書が取材を受けるとしているが、この日午後は外出中とのことだった。

   そこで、支援する横須賀市議らに話を聞いた。

   ある保守系市議は、進次郎氏について、「地元では、世間で言われている世襲批判など、だれも言わないですよ。若いのに発言がしっかりしていて、評判はいいです。だから、後は、地域の代表として頑張ってもらうだけです」と言う。

   また、自民党市議は、「世襲と言いますが、自民党支部で決定して推すことになった経緯はあります。麻生さんらが言っておられることは、誤解もあると思いますよ。会って話すとなかなか立派な人物です」と話す。

   ともに、無所属や他の選挙区で出る可能性は否定し、地元11区に進次郎氏が出馬しても圧勝する見通しを示した。もっとも、さらなる地盤固めのために、様々な機会に顔を出して地道に活動をしているという。

   一方、11区に出馬を予定している民主党の対立候補で弁護士の横粂勝仁氏(27)は、本人が取材を受けたうえで、それとは違う見方を示した。

「やはり世襲の一番象徴的な選挙区だと言われています。進次郎さんは、とても強烈な地盤、看板、カバンを持っていますね。現職の父親を持つ強みで、すでに用意されたパーティーやイベントに出席し、そこにたまたま来ているという形を頻繁に取っています。小泉ブランドの強さで、世襲批判は不利にはなっていないようです。ここだけは別ですね。政界で、父親の影響力が落ちていると言っても、メディアで取り上げられる影響はあります。こちらは、一番たいへんですが、一般の候補者として、ひたすら声を出して、自転車で回って名前と顔を浸透させるしかありません」