長谷川洋三の産業ウォッチ
セブン&アイ名誉会長の懸念:「会社は大きくなると危ない」

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「会社は大きくなると危ない。私どもの会社もつぶれるかもしれないと思っている」

   セブン&アイ・ホールディングスの伊藤雅俊名誉会長は2009年6月3日、東京都内で講演し、こう強調した。世界最大の自動車メーカーGM(ゼネラル・モーターズ)が1日、米破産法11条の適用申請した直後に、日本で最も成功している小売業大手首脳がこうした発言をしたことは、企業が成功するには「謙虚であること」がなによりも大事であると内外の経営者に警鐘を鳴らしたものと受け止められた。

   伊藤氏によると、同社で大切にしているのは「顧客の満足と社員のモラル」であり、「理念の大切さと志の大切さ、すなわち人生の軸としての真摯さ」だという。「お客様は来てくださらないものであり、お取引先は売って下さらないものであり、銀行は貸して下さらないものである。だからおかげさまで、という感謝の気持ちがなくなれば、会社は終わりだ。いくらもうかるか、というカネ(金銭)の物差しだけ商売をすることは大きな間違いだ」と強調した。

   伊藤氏はまた、戦略、企画を立てるときには、まず鳥瞰図からグローバルにマクロから見る鳥の目と現場を通じてミクロに見る虫の目、さらにトレンド・時代を見て、時代の潮目を見極める魚の目の3つの視点が重要だと指摘した。その上で、「今回の金融危機を見ていると、明らかに潮目は変わった。株主中心に考える米国資本主義は誤りであり、顧客や社員を大切にする経営こそ重要だ」と語った。

   伊藤氏は1924年生まれ。1929年のウオール街の大暴落に始まる世界恐慌を5歳で迎えた。「タマゴを売っても箱代しかもうからなかったし、小麦粉を売っても袋代しかもうからなかった。戦争になると政府は国債を出して景気をあおったが、戦争が終わると国債は紙になった。これだけ国債を出すとカネの価値は落ちるのではないかと心配している」としめくくった。連結売り上げ6兆円、経常利益3000億円をあげる大企業の基礎を築いた人は、やはり「謙虚」ということだろうか。

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