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「ガンダム記念撮影」260万円 34歳落札者はどんな人物か

   東京お台場に建てられた実物大「機動戦士ガンダム」の肩の位置で記念撮影ができる権利を260万1000円で落札したのは美濃部達宏さん(34)だった。撮影会は2009年8月1日に行われたが、落札者はいったいどんな人物なのか。

「車を買っても、人生の思い出にならない」

美濃部さんは『ガンダム』の撮影の様子をブログで綴っている
美濃部さんは『ガンダム』の撮影の様子をブログで綴っている

   ガンダム像の肩で記念撮影ができる権利は「GREEN TOKYO ガンダムプロジェクト」の実行委員会が2016年の東京オリンピック招致キャンペーンの一環として出品した。落札代金は、同実行委員会を通じて東京オリンピック・パラリンピック招致委員会に寄付される。

   落札した美濃部さんは千葉県松戸市生まれ。獨協大学在学中にフジテレビ・バラエティプランナー大賞に入賞し放送作家の道に進んだ。現在は「うたばん」や「アッコにおまかせ」などの人気番組に多数関わっている売れっ子作家だ。「ヤフー!オークション」に出品された「ガンダム」との撮影権利を落札した際、年下のディレクターから、

「どうして車を買わなかったんですか?」

と尋ねられたという。美濃部さんは、

「車を買っても、人生の思い出にならないけど、ガンダムと写真を撮ったら一生の思い出に残るでしょ」

と答えた。

   根っからの「ガンダム」ファンだが、フィギュアやプラモデルなどは一体も持っていない。その理由は、ガンダムはこんなに小さくない、と思っていたからだ。お台場に建てられた実物大「ガンダム」はまさに夢の実現だった。

「好きなガンダムで人生の思い出を作りたい」

   落札価格は当初、150万円程度と睨んでいた。

   しかし、オークションは200万円になり、250万円を超えた。最終的に260万1000円で止まった時にはホッとした。150万円でも予算ぎりぎりなのに、300万円を超えても競りを止めない可能性があったからだ。我に返ったときに高すぎたのではないか、と最初は悔やむ気持ちがあった。いざ撮影イベントが始まると、「高い買い物ではなかった」と変わっていった。

「ガンダムファンは本当にいい人たちばかり」

   「落札してよかった」。美濃部さんがそう感じたことは沢山ある。ガンダムファンの暖かな気持ちにたくさん触れることができたことだ。初めは嫉妬されるのではないかという不安もあったが、お祝いや激励のメール・電話がいっぱい来ただけでなく、美濃部さんが開設しているブログのコメント欄にも「落札者があなたのような方で嬉しい」などの書き込みが殺到した。

   撮影当日はクレーンで18メートルある「ガンダム」の肩の高さまで登った。下で見ている観客の中に「ガンダム」の人気キャラ「シャア」のコスプレーヤーがいて、美濃部さんにずっと敬礼をし続けていた。

「ガンダムファンは本当にいい人たちばかり」

ということを改めて感じた。この日は高校時代の友人も駆けつけた。撮影が終了した後は、お台場のレストランで久しぶりの「同級会」も開くことができた。

   美濃部さんはこの日の「ガンダム」の肩から撮影した写真をブログで公開している。自分の感動をファンのみんなにも伝えたいという気持ちからだ。実は、今回の落札と撮影イベントに関し、自分の本名や素性を隠すこともできた。あえて公開したのにはファンゆえの理由があるのだという。「ガンダム」の熱狂的ファンを「ガンオタ」(ガンダムオタク)と呼び、変人扱いする人もいるが、本名や素性を公開することで、自分のような人間もガンダムファンに多いことを知って欲しかったのだそうだ。

「オタクの世界だと誤解して敬遠する人もいるようですが、一般の方が見ても本当に素晴らしいアニメです。私が落札し、こうして人前に出たことをきっかけに、もっと沢山の人にガンダムを知ってもらいたいと思っているんです」