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好きな男性の個人情報調べまくり これは「ネットストーカー」?

   ネット上で「つきまとい行為」をする「ネットストーカー」が問題化する中、ネット利用者の個人情報を克明に調べまくる有様を事細かに書いている匿名日記をめぐり、議論が起きている。また、本人が「ストーカーだという自覚はない」と書き込んだことから、さらに波紋が広がり、すでに約600のブックマークがついている。

女性は「ストーカーだという自覚はない」

   波紋が広がっているのは、「はてなダイアリー」上に匿名で記された「インターネットの人を本気で好きになったのですが」というタイトルの2008年8月5日付の日記。女性の手によって書かれたものとみられ、ネット上で発見した男性の個人情報を調べる様子が事細かに書かれている。女性と男性とは、直接の面識はない様子だ。

   日記によると、女性は男性のブログ、動画配信サービスのユーストリーム(UStream)、ツイッター(Twitter)、ヤフーオークションのページなどを定期的にチェックし、男性の行動を把握。加えて、男性がヤフーオークションに出品していた品物を落札し、住所と本名を入手してもいる。さらに、「いつか行けるだろうかと妄想しながら」グーグルのストリートビューを使って、自宅住所の映像を見たことを明かしている。勤務先についても目星が付いたといい、日記は

「彼の周りに女性の影が見えてきたのでどうしたらいいのか考えている。私はどうしたいんだろう?」

と結ばれている。さらに、「はてなブックマーク」やコメント欄に、行動の異常性を指摘する声が相次ぐと、女性は日記に

「ネタかと言われて逆に驚いている。実話であり脚色どころか抑えて書いている部分もある。ストーカーだという自覚はない。彼が公開している情報を集めているだけだ」

と追記して反論。さらに波紋が広がっている。

執拗なメールはストーカー規制法に抵触する可能性

   日記の文章を読む限りでは、女性が男性に対して直接コンタクトを取ったかどうかは不明で、男性に対する直接の被害は確認されていない。ただ、女性が男性に対して執拗にメールを送ったりする場合は、「ネットストーカー」として、ストーカー規制法の処罰対象になる可能性もある。

   ネットストーキングの被害は今や現実のものだ。調査会社の「アイシェア」の調べによると、調査対象の43.3%が、ネットストーカーの存在を知っていると回答。さらに、そのうち21.7%が、被害にあった人を見たことがあると回答している。

   警視庁ハイテク犯罪対策総合センターに09年上半期に寄せられた相談電話の件数3636件のうち、25%を「名誉毀損・誹謗中傷、脅迫、個人情報の流布に関するもの」が占めている。

   ITジャーナリストの井上トシユキさんは、

「ブログはコメント承認制にしたり、フィルターをかけるなどの対策が必要です。誰もが見られるブログに、自分の顔写真やメールアドレス、自分の住所や勤務先が推測出来るような記述をさらすのは、絶対にやめるべきです」

とアドバイスしている。さらに、最近急速な広がりを見せているツイッターの利用法についても、

「有名人の利用が増えているのが気になっています。『一般の人と距離が近くなる』という利点はあるのですが、ネットは現実の世界と変わらないことを認識すべきです。多くのことをツイッターで書きすぎて、『リアル世界では一般の人は楽屋には入れないのに、ネットの世界では見知らぬ人を玄関の中に入れてしまっている』という状況になりかねません」

と、ネットストーキングのリスクについて警鐘を鳴らしている。