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リクルートスーツに白いペンキ! このピンチをチャンスに変えるには

   景気は底を打ったという見方も出始めたものの、就活戦線はしばらく超氷河期が続きそうだ。そうした学生たちを支援しようと、日本ヒューレット・パッカードやサマンサタバサジャパン、マイクロソフトといった大手企業25社が「SHUKATSU It's MEプロジェクト」という試みをはじめた。インターネットを通じて、各社の社長が次々と「課題」を出し、学生たちが回答するというもので、本物の就職試験さながらの熱いやりとりが展開されている。

パソコンがまったく存在しない国でパソコン売るには

社長との直接面談に臨む学生たち
社長との直接面談に臨む学生たち

   「SHUKATSU It's MEプロジェクト」は、日本ヒューレット・パッカード(HP)の呼びかけではじまった。もともと「挑戦者」を応援する社会貢献をしてきた同社が、「今年がんばっている人」として注目したのが超氷河期の「就活学生」だった。

   応援気分を盛り上げたいと協力企業を募ったところ、サマンサタバサジャパンやマイクロソフト、JR東日本、丸紅、テレビ東京、神奈川県など25の会社・団体の代表が賛同した。

   とにかく、エグゼクティブ・サポーター(各社の社長)が問いかける「課題」からしてユニークだ。トップバッターの日本HPの小出伸一社長の課題は、

「これから就活の最終面接。なのに、リクルートスーツに白いペンキが。この逆境をチャンスに変えていくアイデアは?」。

   サマンサタバサジャパンの寺田和正社長はこう質問する。

「あなたが新発売した就活用のロゴバッグ。持っていると内定する確率があがると人気に。さて、その専用バッグにはどんな言葉が書かれている?」。

   マイクロソフトの樋口泰行社長は、

「パソコンがまったく存在しない国に出向いたあなた。その地で、パソコンの普及に努めなければなりません。国の有力者と会談をもったあなたは、パソコンのよさをどう説明しますか」

といった具合。どれも発想力や創造性、人間性を試す課題だ。

「自分らしさをつかんでもらえればいいと思っています」

   日本HPの小出社長が出した「課題」には、約700通もの回答が寄せられた。「どの答えもマジメそのもの」(日本HP広報担当者)。社長はその1件1件に目を通し、その中から「It's ME賞」(ベストアンサー)として6人を選んだ。この6人は社長と直接面談する機会が与えられ、1人を「グランプリ」に選んだ。

   社長が選んだグランプリは、面接先として大手製薬会社を想定した、大学3年生のこんな回答。当然ながらリクルートスーツには白いペンキがついている。

「見てのとおり僕はリスクを避けられませんでした。だからこそ、今日の風邪から、10年先の癌、そんなリスクに立ち向かっている御社を志望しました。家に帰ったら、ここに御社のロゴを書くつもりです」

   小出社長は、ストーリー性とピンチをチャンスに変える前向きな発想を評価したという。

   もっとも、ここでグランプリを獲ったからといって、協力企業に入社できるわけではない。それでも、学生たちにとっては大企業のトップと直に話ができるチャンスでもあり、自らの売り込みに必死になる。

   またWEBサイトでは、社長のほか、他の学生からのコメント(評価)も得られる。「学生から高い評価を得たものが、必ずしも社長の評価にはならないようです。視点が違っていたり、その違いが学生と社会の違いであったりします。自分らしいと思っていた考えが否定されたり、受け入れられたり。そういった中で、自分らしさをつかんでもらえればいいと思っています」(日本HP広報担当者)

   8月26日からは、スペシャルウイークとして一挙に6社のCEOが「課題」を出題。各社の課題に、何度も回答していくうちに鍛えられて、「自分らしさ」が見つかるかもしれない。