電子ブック「キンドル」の衝撃 ソニーは先行アマゾン「追撃」

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   日本では、比較的なじみの薄い「電子ブック」が、米国では市場規模を伸ばしている。大手オンラインストアのアマゾンの「キンドル」が先行し、ソニーが猛追するという構図だ。部数減に悩む新聞社も電子ブックでの紙面配信に望みを託しており、市場規模はこの1年で3倍に拡大している。

ペーパーバック約3500冊分のデータを蓄積

ソニーが米国で発表した「リーダー」の新機種
ソニーが米国で発表した「リーダー」の新機種

   電子ブックをめぐっては、2004年頃にソニーや松下電器(現・パナソニック)などが相次いで参入したが、ページをめくるのに時間がかかるなどの操作性の悪さが敬遠され、伸び悩んでいた。

   ところが、米国では、小売り大手のアマゾン・ドット・コムが07年に発売した端末「キンドル」が人気を呼んでいる。液晶よりも読みやすい「E Ink」と呼ばれるディスプレーを採用したり、無線通信機能を内蔵したりしているため、PCがなくても書籍などのデータを取り込めることが特徴だ。また、通常では約25ドルするハードカバーの書籍を約半額で配信。価格の安さと30万点を超えるタイトル数の多さが受けている。

   09年2月には2代目の「キンドル2」を359ドルで、3代目の「キンドル DX」を489ドルで投入。特にDXは「2」と比べて画面の大きさを2.5倍に大型化し、ペーパーバック書籍約3500冊分のデータを蓄積することができる。ペーパーバックはかさばって持ち運びに不便なことから、「持ち運びが便利」という点でも人気を呼んでいるようだ。

   新聞業界も、「キンドル」の動向を注視している。この背景には、米新聞の部数落ち込みが大きくなっていることがある。例えば08年10月~09年3月の半年を見ると、主要氏の発行部数(平日版)は約3400万部(米新聞雑誌部数公査機構(ABC)調べ)で、前年同期比で7%も落ち込んでいる。これを受けて、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)、ボストン・グローブなどの有力紙は紙面の内容を「キンドル」向けに配信している。WSJの場合は価格を月額14.99ドルと紙媒体よりも割安に設定する一方、各新聞社は購読者向けに「キンドルDX」を割安の価格で販売。配達網が弱い地域の読者を掘り起こしたい考えだ。

アマゾンとソニーに加え、書店大手も参入予定

   また、09年3月には、「キンドル」向けの書籍データをアップル社のアイフォーンで読むためのソフトを無償配布すると発表。一見、キンドルとアイフォーンは競合関係のようだが、キンドルの書籍データは、一度購入すればアイフォーンなど他の携帯機器と共有することができる。このことから、アマゾン-アップル間の補完関係を目指す。

   一方、これを追撃するのがソニーだ。ソニーは09年8月25日、電子ブック専用端末「リーダー」の新機種をクリスマス商戦向けに米国で発売する、と発表した。価格は399ドルで、旧モデルよりも画面が大きく、タッチパネルを搭載。「キンドル」と同様に無線経由で書籍データが取り込めるようになったのが特徴だ。今後、新聞や雑誌などコンテンツを増やし、アマゾンを追い上げるものとみられている。

   現状では、米国の電子ブック市場は、アマゾンとソニーによる事実上の寡占状態だが、今後は書店大手も参入する予定で、市場規模は「右肩上がり」。米業界団体の国際電子出版フォーラム(IDPF)の調べでは、09年4~6月の米国内の電子ブックの売り上げ(卸ベース)は3760万ドルで、前年同期の1160万ドルから3倍以上の伸びを見せている。

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