2024年 4月 18日 (木)

鳴り物入り「事業仕分け」 仕切っているのは財務官僚?

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   政府が行っている事業や制度の必要性を判断する「事業仕分け」が2日目に突入し、「廃止」「見直し」「地方に移管」といった方針が、続々と打ち出されている。ただし、政府の事業のうち、仕分けの対象になったのは、ほんの一部。対象が決まるまでには財務省が大きく関与しているとされ、この時点で、すでに「決着」がついているとの見方もある。

   仕分け作業は、東京都新宿区の国立印刷局市ヶ谷センターの体育館で行われており、初日の2009年11月11日には、23項目が議論の対象になった。この日だけで、多くの事業が「廃止」または「予算計上見送り」などと判定され、削減額は約500~700億円に及んだ。

農水省の担当者は防戦一方で、しどろもどろ

農水省担当者(左手前)は「仕分け人」(右奥)の質問に防戦一方だった
農水省担当者(左手前)は「仕分け人」(右奥)の質問に防戦一方だった

   体育館はパーティションで3つの区画に区切られ、3つのワーキンググループ(WG)で議論が行われる。一つのテーマについて約1時間かけて議論が行われ、冒頭の5~7分で各省の担当者が事業の趣旨や正当性を説明し、次の3~5分で財務相の担当者が予算査定の考え方を説明。「とりまとめ役」が論点を提示した上で、民主党の国会議員やエコノミストなどからなる「仕分け人」が役所側に40分程度質問。議論の結果を踏まえて、仕分け人が個々の評価をシートに記入し、それを集計して多数決でWGとしての判断を示す仕組みだ。

   例えば11月12日14時40分過ぎから第3WGで行われた仕分けでは、「農村振興関係(1)」をテーマとして、農林水産省「農村活性化人材育成モデル事業(田舎で働き隊)」と呼ばれる人材マッチング事業など3事業が議論の対象となった。仕分け人からは、

「国でやる必要があるのか」
「モデル事業なのに、こんなに多くの場所で一度に行う必要があるのか」
「各省との連携がないと効果があがらないのではないか」

などと疑問が続出。答弁を担当した農水省の担当者は防戦一方で、しどろもどろになる一幕もあった。

「財務省が、知恵を渡しているんですよ」

   この議論の結果、3事業のうち2つが「国の事業としての必要性は少ない」、残る一つが「(政府に残すか地方自治体に移すかの)両論併記」との結論が出た。

   こう見ていくと、この「事業仕分け」は順調に進んでいるようにも見えるが、これに異を唱える声もある。例えば、「仕分け」の対象になった事業数の少なさだ。今回対象となった447事業は、政府の全事業の約15%に過ぎない。対象事業の選定は、実際の仕分け作業が始まる直前までずれこんでおり、「予算の内実を知っている財務省のお膳立てがあってこその『仕分け』対象選定だ」との声も根強い。

   メディアの中からも、早速このような声はあがっており、例えばテレビ朝日コメンテーターの三反園訓さんは、朝のワイドショーの中で

「財務省が、『こうすれば削れますよ』って(民主党に)知恵を渡しているんですよ」

と、結局は民主党の政策は財務官僚の手に握られていることを指摘している。

   さらに、前出のように「1日あたり500~700億の削減」だとしても、民主党政権の課題は、過去最大の95兆円までふくらんだ来年度予算の概算要求への対応。仙谷行政刷新会議担当大臣は、当初は3兆円以上を削減することを目標にしていた。「このペースでは、とても間に合わない」との見方もできる。

   市ヶ谷の体育館では、ほとんど存在感を示さなかった財務官僚だが、「黒子」としては大活躍しているようだ。

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