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携帯GPS使う「位置ゲー」 出張多いビジネスマンに人気

   携帯電話のGPS機能を利用したゲームが人気を集めている。移動距離に応じてゲーム内通貨「プラ」を得て自分だけの街を育てたり、地域独自のアイテムを買い、コレクションしたりする遊び方がサラリーマンを中心にうけているのだ。実在する土産店と提携しているケースもあり、お土産の購入者も増えているという。

   そのゲームは「コロニーな生活☆PLUS(通称:コロプラ)」という名称で、2003年に開設された。最初は代表の馬場功淳さんが個人で運営していた。移動距離や現在値がわかるGPS機能を利用した「位置ゲー」のはしりだった。

2009年6月には実店舗と提携開始

   ユーザーは現在65万人以上いる。利用者の8割は20~40代の社会人だ。「毎日の通勤が楽しくなった」「得意先回りや出張に積極的にでかけるようになった」と好評で、とりわけ出張が多いビジネスマンにはうけた。移動が多ければ多いほど多くの通貨を手に入れられるのと、移動先の土地に応じて地域別の「お土産」が買えるからだ。GPSならではのユニークな仕掛けだ。

「ユーザーにはふだんゲームをしない人が多いのが特徴です。今は電車の中で携帯電話を触るのは当たり前。でも、料金がかかったり、個人情報を提出したりするゲームは敬遠されていたと思います。『コロプラ』が無料、個人情報登録不要なのも、うけた原因ではないでしょうか」

   代表の馬場さんはこう話す。さらに、人気を後押ししたのは2009年6月、実店舗と提携をはじめたことによる。

   提携店で商品を買うと金額に応じて、お土産カード「コロカ」がもらえ、裏面にある数字を送信すると、ゲーム内で利用できる「レアアイテム」がもらえる。人によっては、これを交換したり、ゲーム内通貨で売買したりして楽しんでいる。現在29店舗と提携している。

「コロカ」欲しさにひと月に約1000人来店

   こうしたことから、全国各地にある提携店の土産物屋に立ち寄る人が増えた。

   栃木県日光市の老舗煎餅屋「石田屋」では2009年6月、この仕組みを取り入れた。営業企画部長の石田雅一さんによると、石田屋では県内全域の土産物屋へ商品を卸しているため、「本店」にわざわざ立ち寄るお客さんは珍しかった。今では、「コロカ」欲しさに、ひと月に約1000人が来店している。それまでのおよそ倍の人数だ。名物「日光甚五郎煎餅」の売れ行きも好調だ。

「お客さんは全国各地からいらっしゃいます。せんべいは中年客がメインでしたが、今では20~30代が買っていくのが嬉しい。一般客よりも客単価が高いのも特徴で、購入額は最高で4万円使った人もいます。リピーター客も来るようになりましたし、PR効果は大きいと思います」

   なお、前出のプラ社・馬場さんによると、提携したいという問い合わせは全国から相次いでいるという。

   JR九州とも提携し、2009年11月7日には「九州一周塗りつぶし位置ゲーの旅」がはじまった。指定されている九州内の50駅の通過時・下車時に位置情報を送信すると、画面上の地図が塗りつぶされていく仕掛けで、旅の軌跡を残せるという趣向だ。塗りつぶした駅数(15・25・35・50)に応じて、ゲーム内のアイテムも獲得できる。

   JR九州はこれにあわせて、「コロプラ★乗り放題きっぷ」という特別乗車券も発行した。北部九州エリア版・2日間1万円、南九州エリア版・2日間1万6000円、全九州エリア版・2日間2万2000円と3日間2万5000円がある。発売期間は2010年3月31日まで。営業部は「ゲームをきっかけにして鉄道利用を促したかった」と話す。発売から1か月でおよそ500枚が売れた。購入者は九州以外からの人が多かったという。「ネット上では効率的な回り方について書き込みが盛んなようです。すでに、50駅をクリアしている人もいらっしゃいます」