首相官邸OKすれば他省庁も一気にオープン化?
記者クラブ問題座談会(下)

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   外務省から始まった「大臣会見オープン化」の波は少しずつ、他の省庁にも広がっている。長年にわたって記者会見を独占してきた記者クラブは、旧政権にとってかわった閣僚やネット時代に生まれた新興メディアによって、門を開くことを強く求められている。その姿は150年前、異国からやってきたペリーに開国を迫られた江戸幕府のようだ。記者クラブは今後、どう対応していくのか。

記者クラブが会見を仕切る社民党は「旧態依然」

原口一博総務相の記者会見では2010年1月からクラブ外の記者も質問できることになった
原口一博総務相の記者会見では2010年1月からクラブ外の記者も質問できることになった

A   外務省、金融庁、総務省と記者会見のオープン化が進んできたが、肝心の「首相会見」の見通しは?


B   鳩山首相は12月24 日の会見で「来年はもっとオープンにする」と明言した。それとは別に、官邸の政務三役が「今年度中にオープン化するから、もう少し待ってくれ」とあるジャーナリストに言ったという話もある。


C   首相会見を主催しているのは内閣記者会、つまり記者クラブなので、政府側の意向だけでは決められない。おそらく記者クラブは抵抗するだろうから、本当にオープン化が実現するか、まだ予断を許さない。


A   だがもし首相官邸の門が開けば、他の省庁も一気にオープン化に向かう可能性が大きいね。


C   だが、役所の中にはオープン化したくないところもあるだろう。特にガードが固いのが、警視庁と宮内庁だ。警視庁には以前、J-CASTニュースも「記者会見に参加させてほしい」と申し入れたことがあるが、木で鼻をくくったような対応だった。


A   宮内庁も「菊のカーテン」という別称があるほどなので、そう簡単にオープン化には応じないだろう。


C   ただそれ以外の省庁は、首相会見がオープン化されれば、同調せざるをえなくなる。やはり官邸の会見が開かれるかどうかが、大きなポイントといえる。


B   政府以外も変わりつつある。自民党は野党になってから、総裁や政調会長の記者会見がクラブ以外にも開放されるようになった。面白いのは、入り口にいる守衛の態度まで変わったこと。以前は冷淡な感じだったが、いまは笑顔で迎えてくれる。


A   国民新党も広報には積極的なようだね。なにしろ記者クラブと喧嘩して「もうひとつの会見」を強行した亀井金融相が代表だから、記者クラブ以外のメディアにも寛容だ。


B   その一方で、旧態依然としているのが社民党だ。党首や幹事長の定例会見が開かれているが、主催は「与党クラブ」と呼ばれる記者クラブだ。政権交代前は「野党クラブ」が仕切っていたというが、社会党以来の慣行をそのまま続けているということなのだろう。

新たに参加する記者の力量が試されている

C   記者会見をオープン化するうえで、問題となるのが参加資格をどのように設定するかだ。クラブ以外の者の参加を認めるといっても、セキュリティやキャパシティの観点から無制限に許可するわけにはいかないだろう。


A   その点、外務省と金融庁は参加基準が異なっている。外務省は日本雑誌協会や日本インターネット報道協会などいくつかの報道団体に加盟しているメディアか、その媒体で記事を書いている記者であることを参加条件としている。一方、金融庁の基準はそこまで形式的ではない。個々の記者から参加申請を受けるたびに、それまでの実績をみてケースバイケースで判断している。結果として、金融庁のほうが広く参加を認めることになっているが、特に問題は起きていない。


C   1月から新たにオープン化する総務省は、外務省とほぼ同じ基準だというが、これだと参加が認められないジャーナリストも出てくる。ただ、どんな基準がいいか一概には決めにくいので、試行錯誤しながら基準を考えていくしかないだろう。


A   記者会見がオープン化されたからといっても、それだけで記者会見の質が上がるわけではない。新たに参加するようになった記者がどんな質問をするのか、その力量が試されているともいえる。


B   記者クラブ問題に長年かかわってきたビデオジャーナリストの神保哲生さんは外相会見が開放されたとき、「ボールは投げられた。それをどう打ち返すか。今度は我々のほうが試される番だ」と話していたが、そのとおりだと思う。

「個人的にはオープン化に賛成」という記者たち

C   今回の一連の動きを通して「記者クラブ問題」が大きくクローズアップされるようになったという側面もある。特にネットでは反響が非常に大きかった。


A   ネットだけでなく新聞各紙も、記者クラブや記者会見オープン化の動きについて、特集を組んで紹介した。産経新聞は10月30日付けの紙面で「記者クラブ制度は必要だと思うか」というアンケートの結果を紹介したが、その結果は「NO(不要)」と答えた人が78%にも達していた。産経はよくこの結果を掲載したと思う。


B   だが、ほとんどの新聞は1回特集記事を書いて終わりという感じで、個々の具体的な動きをしっかり伝えているとは言いがたい。


A   テレビに至っては、完全に「見て見ぬふり」を決め込んでいる。大臣の記者会見で記者クラブに関する発言が出ても、その部分は決して放送されることはない。


C   その意味では、会見がオープン化された結果、ネット中継やアーカイブ動画で会見内容がそのまま見られるようになったのは画期的だといえるね。


B   新聞やテレビにしてみれば、記者会見のオープン化は既得権益の侵食につながるので、消極的な報道になってしまうのは当然ともいえる。ただ、記者クラブの記者に話を聞くと、「個人的にはオープンにしたほうがいいと思っている」という人が多い。


A   一記者として個人的にはオープン化に賛成でも、社内事情やクラブ内の他社との関係で積極的に行動するわけにもいかない、ということだね。また会社の仕事で手一杯で、記者クラブの改革のために使う時間やエネルギーはほとんどない、というのが実情だろう。


B   ニューヨークタイムズのマーティン・ファクラー東京支局長も「大きい新聞の記者とよく話すが、彼らも本音では今の記者クラブ制度が好きじゃないと思う。ただ、彼らは自分の会社に反対できないから、その本音をなかなか公の場で言えない」と話している。


A   会社によっても見解は分かれている。朝日新聞の9月30日付けの記事によれば、朝日新聞や日経新聞、共同通信は記者会見オープン化に賛成の立場だが、読売新聞や時事通信は消極的な姿勢をみせている。


C   そうはいっても、時代の流れからすると記者クラブ主催の会見も「オープン化」は避けられないだろう。ジャーナリストの上杉隆さんなどはさらに進んで「民間の親睦団体にすぎない記者クラブが公的機関の会見の主催権をもつのはおかしい」という主張をしている。

役所が記者会見を主催すべきなのか?

A   どの役所も外務省のように自ら会見を主催すべきだという意見だが、これには異論もある。記者クラブ側は「役所が主催すると、会見を恣意的にコントロールされる恐れがある」と反論している。


B   だが実際に会見に参加してみると、クラブ主催だからといって権力側と緊張感のあるやり取りができているかどうか、疑問も感じる。


C   かつて新聞記者として記者クラブに所属した経験からすると、記者会見では政治家への配慮や他社との相互牽制が働くことが多い。重要な質問はあえて記者会見では聞かずに夜回りのときにぶつけようという思惑もあり、質問を自己規制してしまうことがある。


B   ある省庁の記者クラブの記者も「クラブの内部にいるとどうしても他社の目が気になって、空気を読んで質問するようになってしまう」と話している。


A   逆に役所や政治家が主催しているからといって、厳しい質問が出ないというわけでもない。たとえば民主党の小沢幹事長の会見は党主催だが、記者からは天皇特例会見や政治資金問題などについて、小沢氏が嫌がる質問がよく出ているよ。


C   重要なのは、会見の主催が役所かクラブかということではなく、そこに参加する記者の姿勢ではないか。


B   実は、記者クラブの幹事をつとめる記者からも「役所に会見を主催してもらいたい」という声が出ている。記者の本来の仕事からすれば、会見の進行役をしたり、参加の可否を判断したりするのは不慣れな作業なので、負担感が大きいようだ。


A   むしろ役所のほうが、記者登録などの事務作業やルール作りに慣れているし専門のスタッフもいるので、記者クラブが無理して「会見のオープン化」を引き受けなくてもよいのではないか、という考え方もある。


C   いずれにせよ、「開かれた会見運営」は必然の流れだろう。ただ、セキュリティや誰を参加させるのかという参加基準の解決には少々時間はかかりそうだ。

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