2024年 4月 25日 (木)

トヨタ叩きから一転擁護に NYタイムズ購入勧める記事

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   トヨタ叩きが激しかったアメリカで一転、擁護の声が相次ぐようになっている。州知事4人がリコール問題に公平な議論を求めたほか、厳しかった米メディアから、価格低下による買いの可能性を指摘する報道も出てきた。なぜなのか。

   トヨタ自動車の豊田章男社長は2010年2月9日、プリウスのリコールを発表して謝罪したが、そのおじぎの仕方にまで噛みついた米メディアがあった。

破たん米GMのリベンジ説も

NYタイムズも「トヨタ車買い」
NYタイムズも「トヨタ車買い」
「豊田社長は、前回の会見でした40度のおじぎより深い、60度の角度でお詫びをした。しかし、日本社会が重大な事態のときに要求する75度より、なおおじぎの角度が足りない」

   こう指摘したのは、大衆紙のニューヨーク・ポスト紙だ。天皇陛下に最敬礼の90度おじぎをした自国のオバマ大統領に見習えと言いたいのかもしれない。

   ここまで極端でなくても、アメリカでは、相次ぐリコールに対する風当たりは強い。

   ラフード米運輸長官が一時「トヨタ車に乗るな」と口走り、米議会でも、24日の公聴会に豊田社長を召喚すべきとの声が出ているほどだ。米メディアでも、主要各紙の厳しい論調が目立ち、例えば、米ウォール・ストリート・ジャーナル紙は10日付1面記事で、1年以上前から問題を把握しながら適切な対応をしなかったとして、「トヨタには隠蔽体質がある」とまで批判した。また、品質への信用が損なわれて、トヨタの新車や中古車の価格が下落したと報じられ、2010年のシェアは米フォードに抜かれて3位に転落すると予想する調査会社まで出ている。

   過熱するバッシングに、うがった見方も出ている。ウォール・ストリート・ジャーナル日本版の12日付コラムでは、根拠が乏しいとしながらも、3説を挙げている。それは、破たんした米GMなどのリベンジ説、GM株を持つ米政府の意向説、そして、オバマ批判のスケープゴート説だ。バッシングに乗じて、トヨタへの訴訟も相次いでいるなどとも報じられている。

全米で17万人以上がトヨタで働く

   ところが、このところ、バッシングが一転、トヨタを擁護する動きも相次いで報じられるようになった。

   2010年2月12日の新聞各紙によると、トヨタの工場がある米ケンタッキー、インディアナ、アラバマと工場予定地ミシシッピの4州の知事が、米議会などに連名で書簡を送り、「トヨタ批判は不公平だ」などと主張している。リコール対応について、「ほかのメーカーにはない自主的なものだった」とまで持ち上げ、トヨタが利益よりも安全を優先していると強調したというのだ。

   さらに、米メディアでは、トヨタ車の購入を勧めるような記事まで出るようになった。ニューヨーク・タイムズ紙は11日、「トヨタ車を買うには絶好の機会?」との見出しのニュースを書いた。記事では、リコール問題での値下がりや各地域でのディスカウントで消費者が恩恵を受けるかもしれないと指摘している。

   擁護論が出てきた背景には、トヨタの生産工場が今や全米に広がっていることがある。ディーラーを含めてアメリカ全体で17万人以上がトヨタで働いているといい、各地域にとっては、雇用削減や工場閉鎖などが起これば死活問題につながるからだ。米フォックスの11日付サイト記事は、各州政府がリコール問題の地域経済への悪影響を心配して擁護に回っているという事情を明かしている。

   保護主義が先鋭化したのは、輸出が主力だった過去のことだ。今や、アメリカで販売されるトヨタ車の7割ほどが、米国内の工場で生産されているのだ。

   アメリカでは、国内メーカーに配慮する一方で、地域のことも考えないといけない。こんな利益の相反するジレンマを抱えているようだ。

   トヨタの豊田社長は、近く訪米して、リコール問題について説明すると報じられている。アメリカ国内では、今度はどのような反応が出るのだろうか。

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