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ブラジル投信どれも完売 ケタ違い「高金利」最大の魅力

   ブラジル関連の投資信託が人気だ。世界景気が最悪期から脱したなか、ブラジルは中国などとともにいまや世界経済のけん引役になっている。好調な経済と、2年もの国債の利回りが10%を超えるほどの「高金利」がブラジルの魅力で、これは欧米やインド、中国と比べてもケタ違いに高い。

   一方で、ギリシャの財政悪化に揺れる欧州に投資していた資金が逃げ出していて、その資金が流れ込んでいるとの見方もある。

2014年W杯、16年夏季五輪で経済成長は確実

   BRICsなど新興国向けの投信、なかでもブラジル関連投信はいま、売り出せば数日のうちに完売するほどの大人気だ。エイチ・エス証券が2010年4月2日から売り出していた「ブラジル・レアル建社債(円貨決済型)」(バークレイズ・バンク・ピーエルシー発行)は、20日に売り切れた。

   販売他社でも売切れてしまった。

   ブラジル人気の高まりは、2014年に開催されるサッカーW杯や、16年の夏季五輪の開催が決まり、さらなる経済成長が確実視されていることが大きい。

   中国が08年の北京五輪の成功と、5月1日から開かれる上海万博で世界経済を「けん引」したのと同じ道を歩んでいるというわけだ。

   じつは、ブラジルの好景気は、中国が支えている側面がある。資源国のブラジルは、米国向け輸出が盛んな印象があるが、最近では鉄鉱石や大豆などを中国や欧州向けに輸出していて、「中国の恩恵を最も受けている国」ともいわれている。

   2008年4月には、外貨建ての格付けが投資適格とされるBBBマイナス以上(スタンダード&プアーズ)の水準に引き上げられ、信用力が高まったこともあって、海外からの投資マネーが増えた。

「ブラジル・レアル建社債」は年9.51%

   経済成長への期待とともに、ブラジル投信の魅力を支えるのが「高金利」だ。たとえば、バークレイズ・バンク・ピーエルシーの「ブラジル・レアル建社債」は運用期間5年で、年9.51%を付けている。

   ブラジル国債(2年もの利回り)は景気の強さを背景に、4月16日に12.29%を付けて、1か月前よりも0.4%程度、また上昇した。

   ブラジル中央銀行は物価上昇を抑えるために政策金利を引き下げてきたが、現在は8.75%で利上げ観測も漂う。いずれにしても、欧米や日本とは比べものにならないほど高い水準だ。

   ちなみに為替相場は4月に入って、1レアル52~53円で推移している。

   現在販売されているブラジル関連投信(ファンド・オブ・ファンズを含む)は65本、純資産総額で3兆6000億円を超えている(4月19日時点)。

   ブラジル関連投信に積極的な大和証券投資信託委託は10本を設定。このうち、「ブラジル・ボンド・オープン(毎月決算型)」は純資産総額5086億円で、65本のブラジル関連投信の中で最も大きなファンドだ。

   4月2日から、「ブラジル・インフラ株式オープン」を募集しているHSBC投信は、「投資家の関心は高い」と、好感触を得ている。

   同社のブラジル関連投信は、株式ファンド2本と債券ファンドが3本あるが、なかでも「HSBCブラジル オープン」の純資産総額は2878億円(3月末時点)で、09年3月末の5.3倍。また、「HSBCブラジル株式ファンド」も同4.5倍の107億円と、飛躍的に伸びている。