J-CAST ニュース ビジネス & メディアウォッチ
閉じる

直前でも盛り上がらないW杯 岡田ジャパンやっぱり弱いから?

   開幕まで1か月を切ったのに、サッカーW杯が盛り上がらない――。メディアでは今、こんなテーマが話題に上っている。日本が弱いからだ、いやファンが成熟したからだ、などと論議になっているが、真相は?

「W杯直前でも全く盛り上がらないのは、日本のサッカーファンが成熟した証か」

ダイヤモンド・オンラインに2010年5月18日、こんな記事が掲載された。

「おそらくは南アフリカでの日本代表も、勝てない」

日本18位予想のJPモルガン調査
日本18位予想のJPモルガン調査

   南アフリカで6月11日に開幕するサッカーW杯まで、あと3週間。日本も同14日のカメルーン戦で初戦を迎える。ところが、5月10日に代表メンバーが発表されたものの、世間から賛同や批判もなく「冷めた状態のまま」だった。

   記事は、こう指摘したうえで、理由について、次のように推測した。

「日本代表のことしか興味がない人は少なくなり、サッカーそのもの、あるいはW杯の国別対抗戦に面白さを見出している人が残ったという印象だ」

つまり、サッカーファンが成熟して絞られてきたということらしい。

   言い換えれば、日本代表への興味が失せてしまったということだ。記事では、その理由として、コアなサッカーファンが岡田ジャパンにあまり期待していないことを挙げる。ある意識調査では、ファンらが決定力不足にいら立っており、約6割が一次リーグ敗退と答えたことを紹介。そんなファンらの空気が世間に伝わり、盛り上がりを欠く原因になったというのだ。

   盛り上がり欠如については、スポーツライターの金子達仁さんも、朝日新聞夕刊の4月15日付コラムで指摘している。

   金子さんは、その理由として、「日韓W杯の副作用」を挙げる。02年のこの自国大会で日本は2勝したものの、優勝を狙うには力不足を知った。そして、多くのファンが次の目標を持ち得なくなったというのだ。金子さんは、「最近のテストマッチの内容を見る限り、おそらくは南アフリカでの日本代表も、勝てない」として、今回のW杯でも盛り上がる要素が乏しいとみている。

JPモルガンがカメルーン、オランダ、デンマーク全敗予測

   米金融機関のJPモルガンが2010年5月18日に発表した英文の分析レポートでも、日本の厳しさが浮き彫りになっている。

   あくまで同社が独自に定量分析したに過ぎないが、日本は、出場32国中で18位と予想されている。そして、初戦のカメルーン戦のほか、6月19日のオランダ戦、同24日のデンマーク戦でも、敗北と判定されている。3国は、それぞれ6位、3位、14位との予想だ。日本は、ゴールキーパーやペナルティシュートへの評価がやや高いものの、得点力が低いと分析された。

   欧州通信の5月20日付サイト記事によると、フィリップ・トルシエ元日本代表監督は、仏紙のインタビューに、日本を「4部のチームが1部のチームに挑むようなもの」と評した。外国でプレーする選手が非常に少なく、中村俊輔選手もややピークを過ぎたというのだ。

   これに対し、サッカージャーナリストの後藤健生さんは、日本は、必ずしも弱くないとする。

「上位の強豪4~6チームを除けば、各国ともほんとに僅差です。日本は、出場国中で22、3位のランクで、予想される一次リーグ4位の国の中でも上位に入っているんです。確かにオランダは強いですが、カメルーンやデンマークなら分かりません。運やコンディション次第では2位に入って、一次リーグを突破する可能性はあると思います」

   背が高いカメルーンなどのチームは、足元をかき乱されるのを嫌がるので、岡田監督の走らせるサッカーが効果を上げる可能性もあるという。

   後藤さんはそのうえで、もし一次リーグを突破できれば、再び盛り上がるはすだとみる。

「アジア予選に勝つことが目標だった時代は、本戦に出るだけで盛り上がりました。しかし、日韓開催では予選がなくなり、その後も予選を勝つのが当然となって感激が薄くなりました。さらに、本気でベスト4を目指すのも無理と分かり、たとえ一次リーグで1勝して敗退したとしても感情が揺さぶられにくい、中途半端な状態になっています。日本がもう少し強くなって、本気でベスト4を狙えるようになれば、一次で敗退なら悔しい、となるはずです。だから、日本が勝ったら、大喜びしてとたんに興味を持つようになるでしょう」