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社民党の「ぐじゃぐじゃ」迷走 連立離脱するのかしないのか

   鳩山首相が沖縄再訪で苦渋の「辺野古移設」を表明したその2日後、社民党党首の福島瑞穂消費者・少子化担当相が沖縄を訪れた。福島党首は、移設に関する閣議決定に署名せず、辺野古移設に反対する考えを強調した。普天間移設問題は、さらなる迷走を始めるのだろうか。

   「辺野古反対 知事に明言 福島氏が沖縄訪問」。2010年5月26日付の朝日新聞朝刊(東京最終版)は、1面トップで福島氏の25日の訪沖を伝えた。一方、産経新聞朝刊(同)は、同じ1面トップながら「社民 暴走」の文字が躍った。日米両政府がようやく大筋合意にたどりつき、公表を目前に控えたこの時期に「ひっくり返そうとする」社民党の姿勢を強く批判したものだ。

「政権しがみついたら党が自然消滅する」

   「暴走」との表現こそ使わなかったものの、閣内からは福島氏への批判が噴出した。岡田克也外相は5月25日の会見で、「内閣の一員として、総理が大変厳しい決断をされたことに一定の配慮があってしかるべきではないか」と不満を漏らした。他大臣からも「政権の方向性に従って努力してほしい」「火をつけて回るのはどうか」などの声が出た。

   野党はあきれている。自民党の谷垣禎一総裁は「閣内不一致という生やさしい言葉では表現できない」、大島理森幹事長は「政府方針に反対なら閣僚を辞して行動するのが当然だ」と話している。福島氏の不信任案を出すことも検討している。

   当の社民党は5月26日、緊急両院議員総会を開き、辺野古移設に反対する方針を確認した。連立を離脱するかどうかの結論は出なかった。同党の阿部知子・政審会長らは、連立維持派で、政権に留まり引き続き県外・国外移設を訴えた方が良いとの考えだ。一方で、「政権にしがみついたら信頼を失い党が自然消滅する」(照屋寛徳・国会対策委員長)との危機感もある。

   離脱を避けたい社民幹部は、民主と政府へ妥協を迫っている。政府内では、移設先として辺野古を明記しない「政府方針」で5月28日の閣議決定に臨む調整も行われている。辺野古移設を明記する日米共同声明とは別に、社民党に配慮した文案の政府方針も用意しようという「2枚舌」作戦だ。

参院選1人区で社民の支援得たい民主

   民主が社民へここまで配慮するのは、7月の参院選が直前に迫っているという事情もある。多くの1人区の選挙区で、民主候補を社民支持組織が支援する選挙協力が進んでおり、今さらのご破算は死活問題、という訳だ。

   残る連立パートナー国民新党の亀井静香代表は、「かんしゃく起こして政権離脱なんて子どものやることだ」(5月24日)と社民党に「大人の対応」を求めている。しかし、社民党には、旧社会党時代の「大人の対応」による支持急落のトラウマがあるのかもしれない。1994年の自社さ連立政権の村山富市内閣で、自衛隊合憲を認めるなど、従来政策を大きく転換させた「大人の対応」の結果、支持者層が離れ党勢が大きく後退した過去がある。

   インターネットのポータルサイト「ライブドア」のリサーチ欄で、福島氏の沖縄訪問について「不適切だと思う」かどうかを、2択できいた質問(5月25日~)の26日夕現在(参加2000件強)の結果は、「(不適切だと)思う」68.3%、「思わない」31.7%だった。