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「表紙変えれば、支持率上がる」 参院「改選組」から辞任要求噴出

   米軍普天間基地の移設問題で内閣支持率が「2割割れ」するなか、民主党内で「鳩山降ろし」が露骨になってきた。「発火源」は、2010年夏の参院選の「改選組」だ。地元選挙区での風当たりが強くなっていることを理由に「これでは選挙を戦えない」と鳩山首相に対して辞任を求める声も少なくない上、参院幹事長からも「表紙を変えれば支持率が上がる」の声もあがっている。

   10年7月11日に投開票されるとみられる参院選では、民主党の参院議員のうち54人が改選の対象になる。その54人を対象に読売新聞社が調査を行ったところ、取材に応じた43人のうち、首相の続投を支持・容認した議員はわずか7人。一方、「出処進退は本人が判断すべきだ」と、自発的な辞任を求めたともとれる見解を示したのが13人。9人は、参院選前の首相退陣はやむを得ないとの見方だった。「改選組」のうち、相当数が「鳩山首相では参院選を戦えない」と見ていることが浮き彫りになる結果だ。

ブログでも「勇気ある決断」求める声

   確かに、「改選組」からは、厳しい声があがっている。5月31日には、小川敏夫広報委員長(東京都選挙区)が、役員会の場で「首相は辞めざるを得ない」と発言したほか、金子洋一議員(神奈川県選挙区)も、同日のブログで 「鳩山由紀夫総理、勇気あるご決断を!」と題して、鳩山首相の政治家としての資質に疑問を感じさせる点として(1)安全保障に関する無知(2)リーダーシップや根回しの欠如、の2点を指摘。

「総理は、無為無策のまま選挙に臨むという郵政解散選挙の轍を踏み、大勢の仲間たちが敗北することを座してみているだけなのでしょうか」

と訴えた。その後、

「私は鳩山由紀夫総理に辞任を要求するものではむろんありません。もろもろの情勢を考慮に入れて、党にとってそして総理ご自身にとって最善の道を選んでいただきたいとだけ申し上げたのです」

などと釈明しているが、自発的な辞任を求めているように読める点では大差ない。

「地元で政策聞いてもらえない」

   「改選組」を束ねる立場の高嶋良充参院幹事長も、鳩山首相の続投には否定的な見方だ。高嶋氏は6月1日午後の記者会見で、「改選組」の状況について

「(地元で)政策を訴えても、『政策そのものを聞いてもらえない、信用してもらえない』という悲鳴があがっていることを聞いている。彼らが現場で非常に苦労している。そういう環境を改善できればと思っている」

と窮状を訴えた上で、「局面の打開・展開」という言葉を繰り返した。

   記者からの

「『改選組』からは、『代表を変えても支持率は上がらない』という声もある」

という質問に対しても、

「変えて支持率が上向くかどうかについては、基本的に今まで、『表紙を変えて支持率が下がった』ことが自民党政権下であったのかどうか。(首相が)1年交代でも、表紙を変えたときに、支持率が上がっているという状況もある。その観点からすれば、支持率が当面は上がるという可能性は高い」

と、支持率回復のためには、首相の早期退陣が必要との見方だ。

   高嶋氏は、小沢一郎幹事長の側近だとも指摘されている。それが影響しているのか、

「『小沢幹事長が辞めるべき』という声もある」

との問いについては、

「今聞いている参院の皆さんの意見からは、そんなに出てきていない」

と否定していた。

   鳩山首相と小沢幹事長、輿石東参院会長は6月1日夜、国会内で30分にわたって会談したが、小沢幹事長は、厳しい表情で国会を後にし、輿石氏は記者団に「コメントしない」と語った。鳩山首相の進退をめぐって、鳩山首相と党執行部との間で亀裂が深まった可能性もあり、今後、さらに混乱が広がりそうだ。