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代表作は日本アニメの盗用だった 韓国人気歌手異例の告白

   「韓国や中国で日本の歌が盗作された」とされる「疑惑」は決して少なくないが、韓国の人気歌手が、ラジオ番組の中で、自らの代表作が日本の楽曲からの盗用だったことを明らかにした。「盗用だったことが分かったので、日本側に著作権料を払った」などと話しているものの、自分が歌っていた曲が盗用だったことを告白するのは異例だ。

   盗用を告白したのは、2010年5月にデビュー20周年を迎えたばかりの人気歌手、イ・スンファンさん。

盗用したのは韓国の作曲家

   複数の韓国メディアによると、イさんは、2010年7月1日と8日、民放SBSのラジオ番組「イ・スギョンのパワーFM」に出演。20年以上続いている人気番組で、05年の3000回記念放送では東京・麹町のTOKYO FMのスタジオから韓国に向けて放送するなど、日本ともつながりがある。

   イさんは番組の中で、1990年代に発表された自らの代表作「フランダースの犬」について、

「この歌は、(韓国)国内の作曲家の名前で登録されていたが、国内の作曲家が、日本のアニメの主題歌を盗用したものだったことがわかった」

と告白。その上で、

「その後、日本に著作権料を支払ったが、その曲はあまり歌わなくなった」

などと釈明した。

盗用されたのは人気アニメ「フランダースの犬」の主題歌

   盗用されていたのは、1975年からフジテレビ系で放送された人気アニメ「フランダースの犬」の主題歌「よあけのみち」。今でも、番組改編期のいわゆる「アニメ特番」では、必ず流れると言っても良い有名な曲だ。「フランダースの犬」は、韓国でも1976年に放送され、繰り返し再放送されている。

   韓国側では、このニュースを総じて淡々と伝えている。例えば、ニュースサイト「民衆の声」では、イさんが98年から日本進出の希望を持ち続けていることを紹介した上で、

「(イさんは)『(日本の)関係者にCDを贈ってみても10年以上連絡がない』と話し、周囲を笑わせた」

と、あくまでもラジオで発言した内容を報じているというスタンスのようだ。

   韓国では、10年6月にも歌手のイ・ヒョリさんがアルバムに収録された楽曲に盗用があったことを認め、芸能活動の自粛に追い込まれている。イ・スンファンさんは、韓国内では「実力派」だとする評価もあり、今回の「盗用告白」が波紋を広げる可能性もある。

   なお、「よあけのみち」の著作権を管理している日本音楽著作権協会(JASRAC)では、

「JASRACが楽曲の利用許諾を行っている範囲は日本国内なので、韓国国内での利用許諾については把握していない」

と話している。