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船長帰還で中国ネット「勝利宣言」 謝罪拒否でさらに日本非難強める

   尖閣諸島沖で、海上保安庁の巡視船と衝突して日本側に拘留された中国人の漁船船長が釈放され、中国に帰国した。空港にはマスコミが殺到して、さながら英雄の凱旋の雰囲気だった。

   船長帰国で、中国のネットでは日本に対する「勝利」を表すようなコメントが相次いだ。さらに、中国政府からの謝罪要求を日本が拒んだという報道が流れると、今度は日本非難を強める書き込みが続出。日本でも「2ちゃんねる」などで反論が見られ、双方でヒートアップが止まらない。

「強い中国を示してやった。この国を誇りに思う」

   釈放された中国人船長は2010年9月25日未明、チャーター機で中国に帰国した。福建省福州の空港に到着すると、飛行機から降りる際に両手でVサインをつくってみせ、大勢のマスコミが船長を取り囲んだ。

   中国のネットニュースでは、船長の帰国を大きく報道。船長が「また釣魚島(尖閣諸島の中国名)へ漁に出かけたい」と語ったことを伝えている。これらのニュースのコメント欄には、

「強い中国を示してやった。この国を誇りに思う」
「日本が船長を釈放したのは、自分たちが間違っていることに気づいたからだ」
「日本のやつらにチャーター機の費用を払わせろ」

と「勝利宣言」が並び、果ては河北省で日本人4人が軍事管理区域に立ち入ったとして中国側に拘束されたことを受けて「あいつらを苦しませてやれ」などと過激な書き込みまである。

   船長は帰国したものの、中国政府は強硬姿勢を続ける。中国外務省は25日、船長の拘束について「日本が中国の領土と主権、国民の人権を侵した」として日本政府に謝罪と賠償を求める声明を出した。これに対して日本側は、外務報道官談話として、尖閣諸島は日本固有の領土だと改めて強調したうえで「中国の要求は全く受け入れられない」と拒否。26日には菅直人首相が、記者団に対して「謝罪、賠償には応じられない」と明言した。

「こんな軟弱政府ってあるのか」

   「賠償と謝罪」について、日中のネットも騒々しい。日本側が拒否したとの報道を受けて、中国のネットには、

「中国政府はどうして弱腰なんだ。日本は狼だ。中国は食い荒らされるぞ」
「(日本のような)あくどいやつらが謝罪したら、太陽が西から昇るぞ」
「日本製品はボイコットしろ。あいつらは我々のカネで、わが国に嫌がらせを仕掛けてきてるんだ」

といった書き込みが殺到。一方日本でも、「中国は殴れば日本は泣くと思っているぞ」「もっと中国漁民を捕まえろ」などと中国側の姿勢に反発するコメントが並ぶ一方で、船長を釈放したこと自体への批判も見られる。「こんな軟弱政府ってあるのか」と、怒りの矛先を民主党政権に向ける内容も少なくない。

   現時点では言葉の応酬にとどまっているようだが、日中両政府の対応いかんでは大規模な騒動にも発展しないとも限らない。