J-CAST ニュース ビジネス & メディアウォッチ
閉じる

シーテックジャパンの寂しい現実 サムスン・LG不参加、ソニー縮小

   デジタル家電の国際見本市「シーテックジャパン2010」が2010年10月上旬、千葉市の幕張メッセで開かれた。今回の目玉は昨年に続いて3D(三次元)映像関連で、各社とも世界の最先端を走る3D技術を競った。

   ただ、全体の参加企業数こそ前回を上回ったものの、海外からの出展は、前年の22カ国・地域の263企業・団体から、15カ国・地域の196企業・団体へと、4分の3に減った。「アジア最大級」とうたうからには一工夫して盛り上げる仕掛けが必要かも知れない。

3D一歩進めた技術の展示に人だかり

   国内でも4月のパナソニックを皮切りに3D対応の薄型テレビが相次いで発売され、2010年は「3D元年」でもある。シーテックでは映画などで浸透し始めた3Dをさらに一歩進めた技術の展示に人だかりができていた。

   東芝は、専用眼鏡なし・裸眼で3D映像を楽しめる薄型テレビ「グラスレス3Dレグザ」を出展。12月下旬に発売するのは12型と20型の小~中型だが、ブースには56型の大型の試作品も展示し、2時間待ちの行列ができていた。西田厚聡会長は会場で「実用化は数年先と言われていたが、こんなに早く出すことができた」と胸を張っていた。シャープも3.8型と10.6型と小型ながら眼鏡不要で3D映像を楽しめる液晶ディスプレーを参考出品した。3Dでの撮影が可能なデジタルカメラの試作品も出展した。映像は本体の液晶画面に3D表示され、裸眼で楽しめる。

   ソニーは横21.7メートル、縦4.8メートルの超大型の3Dスクリーンを展示。専用眼鏡は必要だが、サッカーの試合などの迫力ある映像を来場者が楽しんだ。パナソニックは「現時点では専用眼鏡を使わないと画像が粗くなる」として、専用眼鏡の世界を追求。BSデジタル放送の「ビーエス朝日」で11月から放送する初の3D音楽番組「パナソニック3Dミュージックスタジオ」を先行放映し、ソフトも充実させていることをアピールした。

各国からの出展減少、「インパクトに欠けた」

   一方、NTTドコモが出品したのは「触れる3D」。携帯端末のような機器の小型画面には裸眼で視聴できる3D映像が出現。画面に登場したカメレオンの伸ばした舌に専用ペンを「触れる」と、舌に巻き付かれたような感触が伝わり、ペンがはじかれる、という新技術。実際に携帯端末で何にどう使うのかは分からないが、ドコモは「ゲームなどに活用できないか検討中」としている。

   3D技術以外では、今年は電子書籍対応端末や、IT活用で効率的に電力を使う次世代送電網「スマートグリッド」関連などに各社が注力し、来場者の足を止めていた。

   ただ、世界各国からの出展が減少し、「インパクトに欠けた」(電機大手幹部)のも事実。いまやデジタル家電で世界をリードするサムスン電子やLG電子といった韓国勢が参加を見送った。ソニーもブースを縮小し、米国で今秋発売するインターネット対応「グーグルテレビ」も展示しなかった。消費地としての日本の地盤沈下を象徴しているのかもしれないが、世界的に薄型テレビの最新の付加価値は3Dからネット対応に軸足が移りつつあるだけに、「3Dが目玉では寂しい」という声も聞かれた。