2024年 4月 18日 (木)

新型スマートフォン通話料「無料」 KDDI「捨て身の作戦」で勝負

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   高機能携帯電話(スマートフォン)で出遅れたKDDIが、巻き返しに出た。ソフトバンクモバイルが販売する米アップルの「アイフォーン(iPhone)」に対抗して、米グーグルが開発した基本ソフト(OS)「アンドロイド」を搭載した新機種を発表した。

   さらに注目されるのはKDDIが今回、インターネット電話ソフト「スカイプ」をスマートフォンに組み込んだことだ。これは無料通話を可能にするサービス。通話料を「犠牲」にしてでも、スマートフォン戦線で勝負に出た格好だ。

「禁断のアプリ」と事前予告

スカイプのサイトでもKDDIのブランド「au」をアピール
スカイプのサイトでもKDDIのブランド「au」をアピール

   スカイプはパソコン(PC)向けのネット電話サービスとして、世界中で爆発的に人気を得た。2003年設立のルクセンブルクのスカイプ・テクノロジーズが開発したソフトで、スカイプをインストールしたPC同士であれば国内、海外を問わず無料で通話ができる。PCから固定電話、携帯電話へも低価格で通話可能だ。

   このソフトをKDDIは、自社のスマートフォン「IS01」と、11月下旬に発売予定の新製品「IS03」の2機種に搭載すると2010年10月18日に発表した。スカイプ・テクノロジーズとも包括提携に合意し、今後投入するスマートフォンや、従来型の携帯電話にもスカイプを入れるとしている。

   これにより、スマートフォン同士での無料通話が実現する。料金体系の詳細はまだ明らかでないが、KDDIにとっては、本来期待できる通話料を自ら犠牲にするような格好となる。発表前、KDDIの田中孝治専務が「禁断のアプリ」と予告していたスカイプをあえて製品に投入するのは、世界中で1億2400万人とも言われる利用者を抱えるスカイプ・テクノロジーズとの協力関係を重視し、国内では現段階で「ひとり勝ち」の感があるアイフォーンを追撃すべく、将来に備えたとも考えられる。

国内の固定電話、携帯向けの発信は不可の見込み

   実はスカイプは、すでにアイフォーン向けにもアプリケーションがつくられている。世界各地で使われているアイフォーンで、相手にもスカイプが入っていれば、たとえ国際通話でもタダになる。

   KDDIにスカイプ搭載機種が出ることで、例えばアイフォーンとIS01という異なる通信業者間の通話も無料が実現する。しかもKDDIの場合、スカイプでの通話にも携帯電話網を使用するので、音声がよりクリアになるだろう。利用者にとっては歓迎すべき話だが、KDDIはもちろん、アイフォーンを販売するソフトバンクモバイルにとっても、今後KDDI向けの通話料金が一部無料になることを意味する。スカイプには、会議通話機能やデータの送受信機能もある。使い方次第では、通信料金全体に響く恐れもあり得るだろう。

   一方でKDDIは、スカイプから国内の固定電話、携帯電話向けの発信はできないようにする見込みだ。ネット掲示板を見ると、一部から「これじゃ、ほとんど意味が無い」と落胆する声もあがった。一方で、今回のKDDIの発表でスカイプの存在を知ったとする意見もあり、このような消費者が多いとすれば、宣伝効果としてはまずまずだったかもしれない。

   富士キメラ総研が10月14日に発表した国内のスマートフォン市場予測によると、2014年度には、09年度と比べて4倍に大幅拡大が見込まれる一方、携帯電話サービスの新規需要は期待できないとしている。今後の主戦場がスマートフォンになるのは明らかだ。アイフォーンで独走状態のソフトバンクモバイルと、「エクスペリア」や韓国サムスン電子製「ギャラクシーS」で追撃するNTTドコモにこれ以上遅れをとれば、KDDIにとっては致命傷になりかねない。通話料収入を一部「捨てる」痛みを伴ってでも、今のうちに追いつけ、追い越せ精神で進まないと未来はないと「決断」したのだろうか。

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