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抗インフル薬次々登場 小児用点滴薬も保険適用に

   新型インフルエンザの大流行から1年がすぎた。最近の急激な冷え込みもあって、2010年シーズンも猛威をふるうのではないかと心配する声は、子どもをもつ母親を中心に少なくない。

   そうした中で、塩野義製薬の点滴薬「ラピアクタ」(10年1月承認)の小児用への保険適用が10月27日に承認された。これまで小児に使う抗インフル薬には、「タミフル」や「リレンザ」が処方されてきたが、今シーズンは9月に新たに承認された第一三共の吸入薬「イナビル」と「ラピアクタ」が加わった。

新型インフルエンザ9割が「怖いと思った」

子どもがインフルエンザにかかると母親は大変だ(健康日本21推進フォーラムの「インフルエンザ」に関する調査より)
子どもがインフルエンザにかかると母親は大変だ(健康日本21推進フォーラムの「インフルエンザ」に関する調査より)

   健康日本21推進フォーラムが、過去1年間にインフルエンザ(新型、季節性)にかかった子どもをもつ母親1000人を対象にした調査によると、全体の7割の母親が2009年の流行を経て、インフルエンザやその予防に対する意識が「変わった」と答え、新型インフルエンザへの意識も9割が「怖いと思った」という。

   09年夏以降に大流行した新型インフルエンザだが、日本臨床内科医会インフルエンザ研究班で、廣津医院の廣津伸夫院長は「今年も早くから広がるのではないかと予測していましたが、今のところ落ち着いているようです。ただ、おそらく昨年と同じウイルスが残っていますし、これからは季節性も広がりやすくなりますから、用心に越したことはありません」と話す。

   子どもがインフルエンザにかかると、母親は看病につきっきりになってしまう。前出の調査でも50.1%の母親が「熱が下がるまで目を離せなかった」と振り返っている。

   また、「子どもと家族が接触しないようにした」(49.8%)と、家庭での感染拡大にも気を遣ったようすがうかがえる。それでも、インフルエンザの拡大で最も多いのが家庭内感染。廣津院長は、「子どもから母親への感染は多く、少し良くなったからといって一緒に食事をとったりすると、残っていたウイルスが飛沫して感染してしまいます。マスクは欠かさないことです」という。咳や鼻水に加え、急な発熱はもちろん、元気がなくなり、嘔吐や腹痛はその「予兆」と注意を呼びかける。

点滴薬は「効きめ早そう」

   母親が気にするのが、薬の副作用だ。前出の健康日本21推進フォーラムの調査によると、「タミフル」のイメージについて85.7%の母親が「効果が高そう」と答えた半面、副作用を心配する声があった。経口薬のため、飲み続けることが大事なのだが、「熱が下がっても服用を続けることに抵抗がある」と答えた母親も50.5%を占め、実際に「タミフル」を処方された際、5日分の処方薬を飲みきらず、「飲み残した」人が約2割(18.6%)いた。

   また、吸入薬の「リレンザ」は33.8%が「副作用の心配がなさそう」と答えたが、「効果がありそう」は68.4%。ただ、母親の3人に2人が「子どもがきちんと吸えているか、わからない」と答えている。

   廣津院長は、「タミフルと異常行動との因果関係はないことがわかっています。ただ、経口薬や吸入薬だと、途中でやめてしまうとウイルスが残って感染を広げてしまう恐れがありますし、耐性ウイルスに変化する可能性も高くなります」としている。

   一方、点滴薬「ラピアクタ」の認知度は「タミフル」や「リレンザ」に劣るが、35.1%の母親が「1回の投薬で治療が済むのでラク」「効きめが早そうだから」といった理由から、処方を希望している。「子どもが薬をきちんと飲めるか、心配する必要がありませんから、母親にとっては助かるのでしょう」と、廣津院長は話している。