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りそな公的資金5年で完済 細谷会長退任の「花道作り」?

   りそなホールディングス(HD)が2010年8月の4000億円の公的資金返済に続き、最大9000億円の返済計画を発表した。実現すれば、ピーク時に3兆1280億円に達した公的資金残高は、8000億円程度に減ることになる。細谷英二会長はあと5年程度で完済にめどをつける方針も示した。

   りそなHDは8月、国から投入された公的資金4000億円を返済し、残る1兆6852億円は利益剰余金を積み立てて返済する方針を示していた。ただ、りそなHDの年間の最終利益水準から考えると、利益剰余金だけでは10年以上かかる見通しだった。

会見場は「退任発表のような雰囲気」

   11月5日に会見した細谷会長は「資本の質が問われており、普通株中心の分かりやすい資本構成にする」と説明。公募増資で調達する最大6000億円と、利益剰余金約3000億円を原資に、国が保有する9000億円規模の優先株式を買い入れ消却する計画だ。さらに細谷会長は、9000億円の返済後に残る公的資金も「利益剰余金を積み立てていけば、5年程度で完済が展望できる」と明言した。

   細谷会長は「完済時期を聞かれても答えられないことが、経営者としてつらかった」と、脱国有化への道筋をつけたことを感慨深げに語り、会見場には「退任発表のような雰囲気」(出席者の一人)が漂ったという。退任の考えの有無を問われ、細谷会長は「陣頭指揮をとっていく」と言明したが、市場では「優先株式の配当負担は低く、増資してまで返済を急ぐ理由が見あたらない」(アナリスト)。在任期間が長いこともあり「早く区切りをつけたいのではないか」(大手行幹部)など、在任7年を超えた細谷会長の「花道作り」との憶測もささやかれる。

メガバンクとの再編の噂も絶えず

   だが、計画通りに返済が進むかは不透明な面もある。細谷会長は11月12日の決算会見でも、完済計画について「経営者として先手を打った」と胸を張ったが、発行済み株式数が増えることによる1株あたりの利益の希薄化を嫌気して、りそなHD株の終値は増資発表前日の612円から12日は478円へ、2割以上下落した。

   りそなHDは優先株の配当負担が減る分を普通株式の増配に回す方針も発表したが、株価低迷が続けば増資はおぼつかない。また、5年程度で公的資金完済にめどをつける方針についても、現状の利益水準を維持できることが前提で、景気悪化などで業績が低迷すれば実現は難しくなる。

   いずれいせよ、混とんとしていた脱国有化への道が見えてきたのは事実。りそなHDは堅実なビジネスモデルや信託機能が評価されており、メガバンクとの再編の噂も絶えない。巨額の公的資金がネックで進まなかった再編が動き出す可能性もあり、りそなHD周辺は騒がしくなりそうだ。