朝鮮半島「武力衝突」で円安 やっぱり「有事のドル買い」なのか

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   北朝鮮による韓国・延坪島(ヨンピョンド)攻撃で外国為替相場も混乱が生じている。攻撃のあった2010年11月23日には、アジア市場で韓国通貨のウォンが急落。米ドル円相場も「円安ドル高」に動いて、格言にある「有事のドル買い」を印象づけた。

   このところの「円高ドル安」基調が続く中での隣国の武力衝突。「有事ドル買い」で、潮目は変わってくるのだろうか。

緊急避難として安心という経験則

   「有事のドル買い」は、今回の北朝鮮による韓国への砲弾攻撃でも生きていた。11月23日、砲撃の一報が伝わると円が売られ、1ドル83円台前半で推移していたドル円相場は83円85銭まで下落した。

   隣国である朝鮮半島での「有事」によって、日本も巻き込まれる可能性が高いこと、それにより日本経済に悪影響が出ることが想定されたため起こった「円売り」だ。

   「当事者」である韓国のウォンはもちろん、シンガポール・ドルやマレーシア・リンギット、タイ・バーツといったアジアの通貨はこぞって売られ、米ドルを買う動きが高まった。

   「有事のドル買い」の格言は、戦争が起きたときには為替相場がどのように動くかよくわからないので、投資家などが流動性の高い基軸通貨の米ドルに、緊急避難として買っておけば安心できるという経験則に基づく。

   多くの人が米国を頼りにするため、米ドルの価値が他の通貨に比べて上がる。「それだけ、経済的にも軍事的にも政治的にも、世界一の大国である米国に信頼を置いているということですよ」(国際金融アナリストの枝川二郎氏)と話す。

米ドル「すでに信頼低下」で効果薄

   とはいえ、今回の朝鮮半島の武力衝突では、ことドル円相場においては「有事のドル買い」の効果は薄かったようだ。東京外国為替市場の2010年11月24日のドル円相場をみると、午後には1ドル83円20~25銭程度の円高水準に戻して推移している。朝鮮半島の武力衝突が収まりつつあり、一方でアイルランドなど欧州の財政不安でユーロへの信頼が低下して、日本円が買い戻された。

   円高の動きについて、あるFX業者は「朝鮮半島の地政学的リスクに嫌気がさしていることに加えて、欧米で株価が急落したことで、リスク回避の動きに拍車がかかりました。その結果として円買いになりました」と説明する。

   ただ、朝鮮半島の軍事的緊張がいま以上に高まれば、日本経済にも悪影響を及ぼし、再び円安に動く可能性はなくはない。

   どうやら「有事ドル買い」の格言は崩れつつあるようだ。前出の枝川二郎氏は、「2001年9月11日の世界同時多発テロ以降、米国がテロの対象となったことで、『有事のドル買い』は必ずしもそうではなくなった」という。テロの標的となったことで米国経済に悪影響を及ぼし、それが米ドルの価値を下げている。実際に、「9・11」のときにはドルが売られ、スイス・フランや日本円などが買われた。

   最近、有事に強い通貨といえば、スイス・フランやノルウェー・クローネ。日本円も「強い」とされる。別のFX業者の幹部は、「有事のとき信頼がおけるのは債権国の通貨。その点で米国はすでに信頼が低下している。結果的に、米ドルはテロの対象にならなければ、買われるといった程度」と話している。

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