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鳩山、原口そして「小沢チルドレン」 民主党内の「菅降ろし」が始動

   支持率低下が続く菅直人内閣に、党内からの「逆風」が強くなりつつある。政権批判を強める鳩山由紀夫前首相が「このまま行くと、来年選挙かも知れない」と述べたほか、原口一博・前総務相は、菅首相が「支持率が1%になったとしても辞めない」と発言したとされることを批判。いわゆる「小沢チルドレン」も政策集団を立ちあげるなど、少しずつ外堀が埋まりつつある。

   共同通信が2010年11月23日から24日にかけて行った世論調査によれば、菅内閣の支持率は11月初旬に行った前回調査と比べて9.1ポイント減の23.6%、北朝鮮による砲撃事件への対応が影響したとみられ、「危険水域」と言われる「20%割れ」が近づいている。

「このまま行くと、来年選挙かも知れないという状況」

鳩山由紀夫前首相は、東大の学園祭でも政権批判を口にした
鳩山由紀夫前首相は、東大の学園祭でも政権批判を口にした

   そんな中、ここ1週間ほどで、民主党内からも管政権批判の声が目立ちつつある。例えば鳩山由紀夫前首相は11月21日に東京大学の学園祭「駒場祭」で行った講演の中で、

「いまひとつ、菅内閣が何をしたいか(良く見えてこないので)、もっと鮮明に出したらいいのではないか」

と、政権に理念がないことを批判。尖閣諸島沖の中国事件衝突事件については、自身の持論である「友愛」があれば、

「もっと違った道筋が考えられたのになぁ」

とまで述べた。11月28日には、茨城県守谷市で行った講演で、次期衆院選について

「次の選挙は、厳しくなると思う。いつあるか分からない。このまま行くと、来年選挙かも知れないという状況になりつつあろうかと思う」

と発言。

「ここで『参った』と言ってしまえば、元も子もなくなる」

と、若干のフォローをしつつも、菅政権は長くないとの見方をにじませた。

   事実上の「菅降ろし」を宣言したのは、原口一博・前総務相だ。菅首相が「支持率が1%になったとしても辞めない」と述べたとされることに対し、原口氏は11月28日のテレビ朝日系の番組で、

「今、やらなければいけない改革ができないなら、できる人たちで改革をやろうと考える」

と述べている。

両大臣に対する問責決議が政権揺るがす可能性

   また、11月25日には、いわゆる「小沢チルドレン」53人が政策グループ「北辰会」を立ちあげ、小沢氏が最高顧問に就任。あいさつでは、「去年(09年)の選挙では『国民の生活が第一』と主張して当選させてもらった」と述べ、09年のマニフェストを着実に実行するように求めた。小沢氏は、居酒屋などで若手議員との会合を繰り返しており、今回のグループ結成には、党内基盤を固め、菅政権をけん制する狙いがあるものとみられている。

   いわば、外堀が埋まりつつある形で、「諫める―亡国の政治に警鐘」(共著)の著書がある、政治評論家の杉浦正章・元時事通信編集局長は、

「小沢氏には、まだ『自分が(首相に)なりたい』という思惑があり、若手を集めて会合するなどの裏の動きを始めています。これは、小沢氏が『菅政権がもたない』と思っているからです。ですが、党内の大勢としては、まだ『様子見』。支持率が20%を切ると党内的に動きが起こってくるかもしれません」

と、「菅降ろし」は時間の問題だとの見方をしている。さらに、過去に問責決議が可決された閣僚の多くが辞任に追い込まれていることから、

「仙谷・馬淵両大臣に対する問責決議を『法的拘束力がない』と甘く見ていると、とんでもないことになる。(政局への)導火線になり得る」

   と、問責決議が政権を揺るがす可能性があると警告している。