「大塚HD」上場で手にした1600億 創薬ベンチャーのM&Aを狙う

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   「ポカリスエット」などで知られる大塚製薬などを傘下に持つ、大塚ホールディングス(HD)が2010年12月15日、東京証券取引所第1部に新規上場した。初日終値ベースの時価総額は1兆1937億円と、今年の新規上場銘柄の中では、4月の第一生命保険(約1兆6000億円)に次ぐ大型案件だ。

   創業家の大塚一族の影響力が強い企業だが、新薬開発やM&A(企業の合併・買収)に向けた迅速な資金調達にも迫られ、短期的収益も求められる株式市場に注視されながら成長を模索する。

統合失調症治療薬の特許切れが課題

   無事に上場を果たして15日に記者会見した樋口達夫社長は、上場に伴って調達した約1600億円の使途について、新薬開発費用に加えて「M&Aも視野に入れる」と述べた。「何千億円という大型案件は考えていない」とも語っており、有力な新薬獲得に向けて、がん治療などの「新薬の種」を持つ創薬ベンチャーで、数百億円規模の買収案件を探しているようだ。

   大塚HDは「ポカリ」以外にも「オロナミンC」「カロリーメイト」「ボンカレー」といった有力定番商品を持つ食品メーカーのイメージが強いが、1兆円超の連結売上高の7割を占める医薬品が主力事業だ。特に、2002年に発売した統合失調症治療薬「エビリファイ」の世界売上高は約40億ドル(3400億円)に達し、武田薬品工業の糖尿病治療薬「アクトス」(約43億ドル)などに匹敵する大型医薬品(ブロックバスター)として知られる。

   問題は、武田のアクトスの米国での特許が2011年1月に切れるのと同様、エビリファイの米国特許が2015年に切れること。特許が切れれば、同じ成分で安価な後発医薬品に市場を奪われる可能性が高い。

   日本の製薬大手のブロックバスター特許が今年に前後して次々に切れて収益力を失うことから、「2010年問題」が呼ばれたが、大塚HDにとっては「2015年問題」とも言われている。今回の東証上場もこの「問題」を克服し「次の成長に向けて戦略の選択肢を広げる」(樋口社長)ため、迅速な資金調達を図ることに最大の狙いがあった。

「グローバルに人材を獲得しやすくなる」

   また資金調達以外の上場のメリットとして知名度、信用度の向上も意識しており、樋口社長は会見で「グローバルに人材を獲得しやすくなり、事業提携も円滑に進む」と強調した。

   ただ、良くも悪くも創業家の大塚一族の影響力が強いのが大塚HDだ。それを象徴するように、東証の上場セレモニーの晴れ舞台で打鐘したのは樋口社長ではなく、創業家3代目当主の大塚明彦会長だった。明彦会長は1976年、38歳の若さで当時の中核会社だった大塚製薬の社長に就き、現在の社業の柱となる新薬開発を推し進めた。

   サントリーが40年以上かけてビール事業を黒字化してみせたように、「非上場オーナー企業」には長期的な戦略に持ち味がある。大塚HDがこれまで非上場を続けたのは、2000年に亡くなった大塚HDの「2代目」、正士氏が「物言う株主がいると挑戦的な経営ができない」との考えを持っていたためとも指摘されている。「2015年問題」を控えて上場を果たした大塚HDが「挑戦的な経営」を展開できるか、注目される。

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