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海老蔵の「加害行為」動かぬ証拠 「再スタート」へ一転示談が成立

   歌舞伎俳優の市川海老蔵さん(33)は、元暴走族リーダー男性(29)への暴力を否定し続けていたが、一転して認めざるを得ない形になった。そこには、動かぬ事実があったことが明らかになった。

「相手の方は、鼻血を出して10日間のけがの診断書を示し、私が負わせたと主張されています。しかし、私自身は、暴力の記憶はございません…」

元暴走族リーダーも被害届出さず

   市川海老蔵さんは、眉間にしわを寄せ、無念そうにこう気持ちを吐露した。

   結局、2010年12月28日の会見で、海老蔵さん側が元リーダーへの暴力を否定できないとして、示談に応じたことを明らかにした。

   会見での説明によると、24日に元リーダーとの示談が成立。海老蔵さんは、酒席での振る舞いが元リーダーのけがにつながるトラブルの一因になったことを認め、その代わりに、元リーダーがけがの被害届を警察に出さず、損害賠償も請求しないことに同意したとしている。

   また、海老蔵さんを殴った傷害罪で起訴された伊藤リオン容疑者(27)についても、24日に示談が成立。海老蔵さんは全治2か月のけがをしたものの、トラブルによる偶発的な犯行と認めて損害賠償請求せず、東京地検に公判請求も望まないとの上申書を提出したことを明らかにした。

   当初、海老蔵さん側は、一方的な被害者であることを強調し、加害者グループ側と全面対決するとの見方も報じられた。民事介入暴力対策委員長もしていた深沢直之弁護士を代理人に立てたことも、理由とされた。しかし、結果的に暴力を認める不利な条件で加害者側に折れた形だ。

証拠になりうる事実を突きつけられる

   市川海老蔵さんが「加害者」でもあることを否定できなくなったのには、ある事情があった。

   それは、証拠になりうる事実を突きつけられたからだ。深沢弁護士は会見で、東京地検の検事が伊藤リオン容疑者と2010年12月22、23日に示談の件で面談した後、この検事が海老蔵さんに迫ったことを明かした。元リーダーに海老蔵さんの頭が当たったか、海老蔵さんが何らかの加害行為をした可能性が強く、それは客観的に認定できうるということだ。つまり、現場に残された血痕など動かぬ証拠があるということらしい。

   また、深沢弁護士自身も、検察側の示す事実認定や証拠に対し、法廷で否認を通すことは困難だと判断したこともあったと明かした。そして、海老蔵さんに元リーダーとの示談を勧めたというのだ。

   これに対し、一方的な被害者と主張してきた海老蔵さんも、「酒の席で客観的裏付けは難しい」と迫られ、観念するしかなかった。会見では、「私の記憶による主張より、前に進むことが双方のためと判断」して、苦渋の示談受け入れをしたことを告白した。

   加害者の伊藤容疑者とも示談せざるを得ず、海老蔵さんは、その理由についてこう言って涙ぐんだ。

「私自身も再スタートが許される人間に生まれ変わらなければ、という強い気持ちがあるからです」